专利摘要:
本発明は、ある具体例において、デルタ様4(Dll4)シグナリングのアゴニスト及びアンタゴニストを同定する方法及び利用する方法を提供する。
公开号:JP2011507852A
申请号:JP2010539496
申请日:2008-12-19
公开日:2011-03-10
发明作者:パルカシュ・ギル;バレリー・クラスノペロフ;レン・リュウ
申请人:バスジーン セラピューティクス,インコーポレイテッドVasgene Therapeutics,Inc.;
IPC主号:A61K45-00
专利说明:

[0001] この出願は、2007年12月20日出願の米国特許出願第12/005,054号(これは、2005年9月1日出願の米国暫定特許出願第60/713,637号の利益を請求する2006年9月1日出願の米国特許出願第11/514,773号の部分継続出願である)の優先権の利益をも請求するものである。米国特許出願第12/005,054は又、米国暫定特許出願第60/876,444号(2006年12月20日出願)及び米国暫定特許出願第60/901,754号(2007年2月16日出願)の利益をも請求するものである。]
背景技術

[0002] 血管形成(既存の脈管構造の内皮からの新しい血管の発生)は、固体腫瘍の宿主における成長、進行、及び転移において決定的に重要な過程である。生理的に正常な血管形成において、血管内皮の、周囲間質の成分とのオートクリン、パラクリン及びアンフィクリンの相互作用は、空間的時間的に厳密に調節されている。加えて、前血管形成サイトカイン及び血管形成サイトカイン並びに成長因子のレベル及び活性は、バランスが維持されている。対照的に、活性な腫瘍の成長に必要な病理的血管形成は、持続性であって、正常な血管形成システムの調節異常を示す。固体及び造血性腫瘍型は、特に、高レベルの異常な血管形成と関連している。一層最近、ある種の白血病は、血管形成に含まれるシグナリングによっても影響を受けるということが明らかとなった。]
[0003] 血管形成を阻止する薬剤は、癌治療において有用である。Avastin(商標)(ベバシツマブ)、血管内皮成長因子(VEGF)に結合するモノクローナル抗体は、様々な癌の治療において効果的であることが判明している。SDF/CXCR4シグナリング経路のアンタゴニストは、腫瘍の新血管新生を阻止して、マウスモデルにおける癌に対して効果的である(Guleng等、Cancer Res. 2005年7月; 65(13):5864-71)。イソクマリン−2−(8−ヒドロキシ−6−メトキシ−1−オキソ−1 H−2−ベンゾピラン−3−イル)プロピオン酸(NM−3)は、生体利用可能な経口の血管形成インヒビターとして、フェーズIの臨床評価を完了している。NM−3は、イン・ビトロで、内皮細胞と腫瘍細胞を直接殺し、マウスにおける種々のヒト腫瘍異種移植片の治療において有効である(Agata等、Cancer ChemotherPharmacol. 2005年6月10日; [印刷に先行する電子ジャーナル])。]
[0004] 血管形成は、他の、非新生物疾患の特徴である。様々な眼病、特に、増殖性網膜症及び加齢関連黄斑変性、並びに炎症性疾患例えばリウマチ様関節炎及び乾癬は、患部組織の増大した新血管新生により特徴付けられる。抗血管形成性薬剤は、これらの疾患の治療に有効である。Macugen(商標)(VEGFに結合するアプタマー)は、新血管新生性(湿潤型)加齢関連黄斑変性の治療に有効であることが判明している。リウマチ様関節炎の治療におけるTNF−アルファアンタゴニストの成功は、部分的に、炎症の生じた関節組織に対する抗血管形成効果に帰せられるものである(Feldmann等、Annu Rev Immunol. 2001;19:163-96)。]
[0005] 動脈形成(血管形成とは関連するが異なる過程)は、既存の血管の内腔が増大して側枝を形成するときに起きる。心筋梗塞又は末梢(例えば、四肢、腎臓など)の虚血後に、小動脈は、冒された組織への主動脈の閉塞後の血流を維持するために一層重要な伝導性血管になる。従って、動脈形成を促進する薬剤は、心筋梗塞及び他の虚血性事象を治療するために利用することができ、部分的な動脈閉塞が検出され又は疑われる虚血性事象を防止するためにも利用することができる。]
[0006] Notch経路、特にNotch1及びNotch4は、血管形成過程に関与している。Notchシグナリングは、一般に、細胞の増殖、分化、特化及び生存という様々な過程の調節に関係している(Artavanis-Tsakonas等、1999)。脊椎動物におけるその複雑さは、各々異なる発現パターンを有する多数のNotchレセプターとリガンドの存在により説明される。哺乳動物では、4種類のNotchレセプター(notch1〜4)及び5種類のリガンド(jagged1、2及びDll1、3及び4)がある。マウスにおいて、Notchレセプター及びリガンドの突然変異は、3つの生殖細胞系列すべてに由来する血管系を含む様々な器官における異常へと導く(Iso等、2003)。このNotch経路は、局所的細胞相互作用を介して機能し、一つの細胞の表面に存在するリガンドの細胞外ドメインは、隣接細胞上のレセプターの細胞外ドメインと相互作用する。この相互作用は、2つのADAMプロテアーゼのNotchの細胞外ドメインに対する作用とその後のγ−セクレターゼの膜貫通ドメインに対する作用を可能にし(これは、細胞内ドメインを細胞膜から遊離させて核に向かうことを可能にする)、それは、CSLと共に機能して、エンハンサー・オブ・スプリット(enhancer-of-split)ファミリーの転写リプレッサーの発現を活性化する(Mumm及びKopan, 2000)。]
[0007] 動脈と静脈の何れに分化するかは、長い間、主に、血圧及び酸素濃度などの物理的因子によると考えられてきた。しかしながら、最近、循環の開始より十分前に動脈又は静脈内皮細胞で特異的に発現される幾つかの遺伝子の同定が、動脈と静脈の間の第一次分化事象において、内皮細胞の遺伝的決定について重要な役割を示すようである。これらの遺伝子の内には、静脈内皮細胞で特異的に発現されるeph−B4(Adams等、1999)及び、動脈内皮細胞で特異的に発現される種々の中でも、ephrin−B2(Adams等、1999; Gale等、2001)、notch1(Krebs等、2000)、notch4(Uyttendaele等、1996)及びdll4(Shutter等、2000)がある。]
[0008] ゼブラフィッシュNotch同族体の突然変異を用いた研究は、動脈と静脈の内皮の分化の調節におけるこの経路の重要性を示している(内皮の動脈特異的様式で最初に発現される遺伝子は、血管内皮成長因子及びソニックヘッジホッグの下流で、ephrin経路(Lawson等、2002)の上流にある)。ゼブラフィッシュ及びマウスの両方において、Notch機能が、動脈内皮細胞の運命の確立に必須であるということの増大する証拠がある(Lawson等、2002; Fischer等、2004; Duarte等、2004)。]
先行技術

[0009] Guleng等、Cancer Res. 2005年7月; 65(13): 5864-71)
Agata等、Cancer ChemotherPharmacol. 2005年6月10日
Feldmann等、Annu Rev Immunol. 2001; 19:163-96]
発明が解決しようとする課題

[0010] 血管形成、動脈形成及び血管のアイデンティティを調節するための薬剤及び治療法を提供することが、本開示の目的である。]
課題を解決するための手段

[0011] 発明の概略
ある面において、この開示は、Notchリガンドデルタ様4(Dll4)のアゴニスト及びアンタゴニストの利用及びそれらを同定する方法を提供する。驚くべきことには、ここに教示するように、Dll4のアゴニスト及びアンタゴニストの両者は、血管形成を生じているか又は他の状況にあって、血管形成を阻止し又は破壊することが望ましい腫瘍を治療するために利用することができる。その上、この開示は、動脈形成をD114アゴニストを投与することにより刺激する方法を提供する。動脈形成は、典型的には虚血組織における、側枝動脈の形成及び成長の過程である。それ故、Dll4アゴニストは、虚血事象例えば末梢虚血又は冠状動脈虚血を患い又はその危険にある患者を治療するために利用することができる。この開示は、更に、Dll4のアップレギュレーションが、内皮細胞に動脈のアイデンティティをもたせ、Dll4の阻止が内皮細胞に静脈のアイデンティティをもたせるという発見にも関係する。それ故、この開示は、適宜、Dll4のアゴニスト又はアンタゴニストを利用することにより、静脈又は動脈のアイデンティティを変える方法を提供する。更に、この開示は、関心ある薬剤がDll4シグナリングのアゴニスト又はアンタゴニストであるかどうかを評価するために利用することのできるバイオマーカーを提供する。]
[0012] 一具体例において、この開示は、癌を治療する方法であって、それを必要とする患者に、有効量のDll4のアンタゴニストを投与することを含む当該方法を記載する。このアンタゴニストは、ポリペプチド、特に、Dll4の細胞外領域を含むペプチドであってよい。一面において、このポリペプチドは、単量体であってよいが、二量体として機能することもできる。単に説明のために、Dll4の細胞外領域を含むポリペプチドの例は、SEQID NO:1のDSLドメイン、アミノ酸27〜524、アミノ酸1〜486、アミノ酸27〜486、アミノ酸1〜442、及びアミノ酸27〜442、又はこれらの変異体から選択することができる。その上、一つのポリペプチドは、Dll4の次のドメインの少なくとも一つ又はそれらの組合せを含むことができる:MNNL、DSL、EGF5、EGF5(図20A参照)。加えて、Dll4のアンタゴニストは、Dll4の細胞外領域に結合する抗体又はその断片を含むことができる。かかる抗体は、モノクローナル抗体、ヒト抗体、又はヒト化抗体であってよい。特定の具体例において、該抗体は、SEQ ID NO:4〜7の少なくとも一つを含むことができる。Dll4の上記のアンタゴニストのすべては、本明細書中に開示したとおり、増進された薬物速度論的特性を与える部分に共有結合しうる。特に、その部分は、Fcドメイン、Hisタグ、又はポリオキシアルキレン(例えば、PEG)から選択されうる。] 図20A
[0013] 他の具体例において、Dll4のアンタゴニストは、哺乳動物内皮細胞内で、有効濃度で、動脈の表現型の発現を刺激する。かかる表現型は、例えば、EphrinB2及びコネキシン37の発現から選択されうる。或は、Dll4のアンタゴニストは、哺乳動物内皮細胞内で、有効濃度で、静脈の表現型の発現を阻害する。かかる表現型の発現は、EphB4の発現であってよい。加えて、静脈の表現型は、Notchにより調節される遺伝子例えばHey1、Hey2、Hes1及びHes2の阻害を含みうる。]
[0014] この開示は又、静脈移植片又は伏在静脈移植片などの血管における動脈の特徴の受容を促進する方法をも提供する。この方法は、それを必要とする患者に、有効量の、Dll4の細胞外ドメインを含む治療用ポリペプチドを投与することを含む。これらのDll4の細胞外ドメインを含むポリペプチドは、SEQID NO:1のDSLドメイン、アミノ酸27〜524、アミノ酸1〜486、アミノ酸27〜486、アミノ酸1〜442、及びアミノ酸27〜442から選択することができ、これらのすべては、本明細書中に開示されたように、増進された薬物速度論的特性を与える部分に共有結合しうる。特に、この部分は、Fcドメイン、Hisタグ、又はポリオキシアルキレン(例えば、PEG)から選択することができる。かかる治療用ポリペプチドは、上記のように、単量体又は二量体であってよい。]
[0015] 更なる具体例において、この開示は、血管形成を阻害する方法であって、それを必要とする患者に、有効量のDll4シグナリングのアンタゴニストを投与することを含む当該血管形成を阻害する方法を提供する。しかしながら、幾つかの面において、この方法は又、血管形成を分断させるのにも有用である。即ち、血管形成を「阻害する」ことは、血管形成の防止のみならず、機能的血管形成の防止をも規定する。血管形成の阻害に有用なアンタゴニストは、ポリペプチド、特に、Dll4の細胞外領域を含むペプチドであってよい。一面において、このポリペプチドは、単量体であってよいが、二量体としても機能することができる。Dll4の細胞外領域を含むポリペプチドの幾つかの例は、SEQID NO:1のDSLドメイン、アミノ酸27〜524、アミノ酸1〜486、アミノ酸27〜486、アミノ酸1〜442、及びアミノ酸27〜442、又はこれらの変異体から選択することができる。その上、一のポリペプチドは、次のDll4のドメインの少なくとも一つ又はそれらの組合せを含むことができる:MNNL、DSL、EGF5、EGF5(図20A参照)。加えて、Dll4のアンタゴニストは、Dll4の細胞外領域に結合する抗体又はその断片を含むことができる。かかる抗体は、モノクローナル抗体、ヒト抗体、又はヒト化抗体であってよい。特定の具体例において、該抗体は、SEQ ID NO:4〜7の少なくとも一つを含むことができる。Dll4の上記のアンタゴニストのすべては、本明細書中に開示したとおり、増進された薬物速度論的特性を与える部分に共有結合することができる。特にその部分は、Fcドメイン、Hisタグ、又はポリオキシアルキレン(例えば、PEG)から選択することができる。Dll4−Fc結合体の幾つかの特定の例を、塩基配列により、図25に示してある。] 図20A 図25
[0016] その上、Dll4シグナリングの上記のアンタゴニストの何れもが、哺乳動物内皮細胞内で、有効濃度で、VEGFに刺激された血管形成を阻害し、血管形成と関連した病気を治療するために投与することができる。血管形成と関連した病気の例には、血管形成依存性の癌、良性腫瘍、炎症性疾患、慢性の関節リウマチ及び乾癬、眼の血管形成性疾患、オスラー−ウェーバー症候群、心筋の血管形成、プラーク新血管新生、毛細血管拡張症、血友病性関節、線維性血管腫、創傷肉芽化、創傷治癒、毛細血管拡張性乾癬硬皮症、化膿性肉芽腫、皮膚潮紅、関節炎及び糖尿病性新血管新生が含まれる。加えて、血管形成は、該アンタゴニストと相加的又は相乗的様式で血管形成を阻害する少なくとも一の更なる抗血管形成剤を、更に、同時に又は順次的に投与することによって阻害することができる。特定の具体例において、該更なる抗血管形成剤は、Notchレセプターのインヒビターであってよい。]
[0017] この開示は、更に、Dll4の細胞外ドメインの一部分を含む単量体ポリペプチドが、低濃度で血管形成を促進し、一層高濃度では、VEGF媒介の血管形成を阻害することを示す。可溶性Dll4ポリペプチドは、すべての濃度で動脈化を促進する。従って、適当な投与量の単量体の可溶性Dll4ポリペプチドを選択することによって、血管形成に対する異なる効果を達成することができる。ある具体例において、可溶性Dll4ポリペプチドは、SEQID NO:1のDSLドメイン(アミノ酸173〜233)を含むが、膜貫通部分及び細胞内部分(アミノ酸552〜685)を欠く。適宜、このDll4ポリペプチドは、SEQ ID NO:1のアミノ酸27〜528の領域内に少なくとも200アミノ酸を含む。適宜、Dll4ポリペプチドは、SEQ ID NO:1のアミノ酸27〜486を含み、好ましくは、アミノ酸27〜524を含む。ある具体例において、可溶性Dll4ポリペプチドは、望ましい薬物速度論的特性を与える部分例えばFcドメイン又はポリオキシアルキレン部分(例えば、PEG)を含む。]
[0018] ある具体例において、この開示は、動脈化を刺激するための方法を提供する。かかる方法は、それを必要とする患者に、有効量のDll4シグナリングのアゴニストを投与することを含みうる。その患者は、虚血性の病状を有し又はその危険にありうる。この患者は、例えば狭心症を含む環状動脈疾患を有し又は心筋梗塞になったことがあってよい。この患者は、末梢動脈疾患例えば四肢、脳又は腎臓などの器官の虚血事象又は部分的閉塞を有しうる。この患者は、虚血事象の危険にあると診断することができる。]
[0019] ある具体例において、この開示は、血管における動脈的特性の受容を促進する方法を提供する。かかる方法は、エキス・ビボで血管に又はそれを必要とする患者に、有効量のDll4シグナリングのアゴニストを投与することを含みうる。その血管は、静脈移植片例えば伏在静脈移植片であってよい。]
[0020] ある具体例において、この開示は、血管形成を分断する方法を提供する。かかる方法は、それを必要とする患者に、有効量のDll4シグナリングのアゴニストを投与することを含みうる。]
[0021] ある具体例において、この開示は、腫瘍の血管構造を分断するための方法を提供する。かかる方法は、それを必要とする患者に、有効量のDll4シグナリングのアゴニストを投与することを含みうる。]
[0022] ある具体例において、この開示は、試験薬剤のDll4シグナリングに対する効果を評価する方法を提供する。一つの方法は、(a)内皮の内張りの細胞を試験薬剤と接触させること;及び(b)動脈又は静脈の表現型と関連する表現型を検出することを含みうる。動脈的表現型の受容を促進する試験薬剤又は静脈的表現型の受容を阻害する薬剤は、Dll4シグナリングのアゴニストであり、動脈的表現型の受容を阻害し又は静脈的表現型の受容を促進する試験薬剤は、Dll4シグナリングのアンタゴニストである。]
[0023] この開示は、Dll4シグナリングのアゴニストとアンタゴニストを識別するために利用しうる特徴を提供する。一般に、Dll4シグナリングのアゴニストは、哺乳動物内皮細胞内で、動脈的表現型の発現を刺激し、静脈的表現型の発現を阻害する。一般に、Dll4シグナリングのアンタゴニストは、哺乳動物内皮細胞内で、動脈的表現型の発現を阻害し、静脈的表現型の発現を刺激する。動脈内皮細胞と静脈内皮細胞を識別する任意の公知の特徴は、動脈的表現型と静脈的表現型を評価する目的のために検出することができる。例えば、EphrinB2の発現とコネキシン37の発現は、動脈的表現型の指標として利用することができる。他の例として、EphB4の発現は、静脈的表現型の指標として利用することができる。]
[0024] ある面において、この開示は、アルファ平滑筋アクチン(α−SMA)陽性細胞の血管へのリクルートを阻害する方法であって、有効量のDll4シグナリングのインヒビターをそれを必要とする患者に投与することを含む当該方法を提供する。ある具体例において、このインヒビターは、Dll4に対する抗体、Dll4−His融合物又はDll4−Fc融合物よりなる群から選択される。ある具体例において、α−SMA陽性細胞は、周細胞、平滑筋細胞、又は周内皮細胞よりなる群から選択される。ある具体例において、血管は、静脈移植片である。ある具体例において、この静脈移植片は、伏在静脈移植片である。ある具体例において、血管形成関連疾患は、上記の群から選択される。ある具体例において、これらの方法は、更に、Dll4シグナリングのインヒビターと相加的又は相乗的様式で血管形成を阻害する少なくとも一の更なる抗血管形成剤を投与することを含む。]
[0025] 更なる面において、この開示は、単離されたモノクローナル抗体又は、Dll4の細胞外部分に位置するエピトープに結合する抗原結合性部分の組成物を提供する。Dll4の細胞外部分に位置するエピトープの例には、図20Aに示したようなMNNL及びDSLドメイン並びにEGF反復の何れか少なくとも一つが含まれる。制限はしないが、かかる抗体は、SEQID NO:4〜7の何れか一つを含むことができる。該抗体は、更に、ヒト化抗体であってよい。] 図20A
図面の簡単な説明

[0026] ヒトデルタ様4タンパク質のアミノ酸配列(SEQID NO:1;GenBankNP_061947)を示した図である。シグナル配列のアミノ酸1〜26には下線を引いてある。膜貫通ドメインのアミノ酸532〜552は、太字にしてある。成熟タンパク質の細胞外ドメインは、アミノ酸27〜531であり、シグナルペプチドプロセッシングにおける不正確さは、僅かに長いか短いタンパク質を生じうる。細胞内ドメインは、アミノ酸553〜685である。
ヒトデルタ様4タンパク質をコードする核酸配列(cDNA)(SEQ ID NO:2;GenBank NM_019074)を示した図である。コード配列は、核酸321〜2378である。
ヒトデルタ様4タンパク質をコードする核酸配列(cDNA)(SEQ ID NO:2;GenBank NM_019074)を示した図である。コード配列は、核酸321〜2378である。
pZ/EG−mDll4遺伝子組換え(transgenesis)用ベクター及びCre活性を示した図である。
(a)E8.0のZEG−mDll4胚のLacZ染色;(b)E8.5のdt胚におけるEGFP発現。(c)E9.0のdt胚における出血性及び心膜浮腫を示した図である。
E9.0及びE9.5dt及び対照用胚の全載PECAM1免疫染色を示した図である。(a)E9.0の対照用胚、(b)肥厚した背大動脈(左下矢印)、分岐したACV(右下矢印)及び頭部領域に未熟な脈管叢(上部矢印)を示すE9.0のdt胚(c)E9.5の対照用胚、(d)肥厚した背大動脈を示すがACV、頭部領域の未熟な脈管叢及び肥厚した静脈洞及び心室の徴候を殆ど示さないE9.5のdt胚。E9.5の染色した胚の半断面は、dt胚の大動脈(f)が静脈洞への接続の直後で萎縮していることを示した(下部矢印)が、対照用胚(e)は、胚中で同じ口径を維持している。dt胚(h)の体節間の血管(上部矢印)は、対照用胚のもの(g)より、僅かに、膨張して短いように見える。このdt胚の背側領域(下部矢印)において、血管形成は、生じることができていない。(i)E9.5対照用胚の卵黄嚢、(j)dt胚の卵黄嚢は、対照用胚の血管系の高度に組織化された構造と対照的に最初の叢のリモデリングの欠如を示している。
低温切片及び細血管造影におけるPECAM1免疫染色を示した図である。(a−g)E9.5dt胚の一連の切片(前方から後方)は、大動脈(右上矢印)とACV(左上矢印)の、静脈洞(下部矢印)への接続の直前に融合を示している。切片(a)において、ACVは、小さい毛細血管(左上矢印)の叢よりなり、それらは、結合して大きな内腔を有する単一の血管を、背大動脈との融合の直前で形成する。切片(e)は、静脈洞の後の領域で大動脈萎縮を示している。E9.5野生型胚の(f、g)連続切片は、上記と同じ領域を描写している。墨汁注射による細血管造影は、dt胚(i)の背大動脈とACVとの間の機能的接続の存在を確認した。墨汁は、対照用胚(h)で認められる通常の流れと対照的に、大動脈(左手矢印)から直接静脈洞(右手矢印)に流れた。
dt胚における動脈マーカーの静脈での発現を示した図である。Ephrin−B2(a、b、c)及びコネキシン−37(d、e、f)特異的なリボプローブを用いたE9.0dt胚からの低温切片のイン・サイチューハイブリダイゼーション。変異体胚は、これらの動脈特異的マーカーの同時的発現を、背大動脈(AD)及び前主動脈(VCA)の両方で示している。対照用胚(c、f)においては、予想されるように、この発現は、大動脈に限られている。
変異体胚の静脈内皮におけるNotchシグナリングのアップレギュレーションを示した図である。E9.0dt胚からの低温切片の、hey1(a、b、c)及びNotch1(d、e、f)特異的リボプローブを用いたイン・サイチューハイブリダイゼーション。両遺伝子は、前主動脈(VCA)においてアップレギュレートされるようである。対照用胚(c、f)においては、予想されるように、この発現は、大動脈に限られている。
dt胚における静脈特異的マーカーのダウンレギュレーションを示した図である。E9.0dt胚からの低温切片のイン・サイチューハイブリダイゼーション及び免疫染色、(a)抗Eph−B4免疫染色、(c)eph−b4mRNA、及びE9.0対照用胚、(b)抗Eph−B4免疫染色、(d)eph−b4mRNA。
ヒトDll4ドメイン構造の概略図(上段)及び注釈をつけたヒトDll4のアミノ酸配列(SEQ ID NO:1)(下段)を示した図である。シグナル配列及びDSLドメインに下線を引いて示した。8つのEGF8ドメイン(EGF8)が共有されている。ΔXB(ΔEGF8)構造は、19の余分のアミノ酸(RSPSCIYRRSWRSRGAQIL)(SEQ ID NO:3)を、EGF8反復のCAS残基の後のC末端側に含む。P524−His構造は、P524(膜貫通ドメインの4アミノ酸前)で終結し、C末端に6×Hisタグを有する。両構造は、レセプター結合ドメイン、DSLドメインを含む。完全長の構造は、Mycタグを有するか又はタグを有しない。
ニッケルカラム精製(SDS−PAGE:CBB−G250染色)後の、精製されたhDll4−P524−6×Hisタンパク質(シスチジンをタグとして有するhDll4−P524)を示した図である。
hDll4が、ヒトの動脈内皮細胞(HUAEC)の管形成を阻害することを示した図である。VEGFを、50ng/mlで、陽性対照として用いた。一層低濃度のDll4(30ng/ml又は100ng/ml)は、管形成を促進したが、500ng/mlのDll4は、管形成を阻害した(データは示してない)。sDll4処理したHUVECs(Bioquant Image Analysis; 2回繰り返す実験における3つのウェルからの平均)における管長及び接続数の定量的分析。類似の結果が、ヒトの動脈内皮細胞アッセイを用いて見られた(データは示してない)。
hDll4は、ヒト動脈内皮細胞(HUAEC)における萌芽を阻害することを示した図である。VEGFを、20ng/mlで、陽性対照として用いた。Dll4は、100ng/ml又は200ng/mlでは、萌芽を促進したが、500ng/mlでは、萌芽を阻害した(データは示してない)。血管領域の定量的分析は、示されている(Bioquant Image Analysis; 2回繰り返す実験における3つのウェルからの平均)。類似の結果が、sDll4−Fcを用いて見られた(データは示してない)。
hDll4は、高濃度で、ヒト動脈内皮細胞(HUAEC)におけるVEGFに刺激された萌芽を阻害することを示した図である。VEGFは、20ng/mlで用いた。Dll4は、100ng/mlでは、殆ど効果を有しなかったが、200ng/mlでは、VEGF刺激された萌芽を阻害した。
Dll4+/−変異体マウスは、血管増殖における不完全な増加を示すことを示した図である:(A)野生型及びDll4+/−胚の脈管構造を、PECAM全載免疫染色法を用いて調べた。背大動脈及び主静脈をa及びvと標示した。野生型と比べて、Dll4+/-胚では、大血管の非存在と血管の分枝及び密度の増加が見られた。(B)Dll4+/-の成体マウスにおける血管応答を、腫瘍移植後に、(A)におけるように調べた。野生型マウスは、腫瘍において組織化された血管増殖を示した(左半分)を示したが、変異体マウスは、顕著に増大した血管応答を示し、それは、組織化及び血管の序列を欠いていた。(C)Dll4の、Dll4+/-変異体マウスの腫瘍及び正常領域における発現をβ−gal染色により調べた。Dll4の発現が正常組織中の少数の別々の血管で認められたが、腫瘍領域は、類似の外観の多くのβ−gal陽性血管を示した(腫瘍血管におけるDll4誘導を示す)。(D)新たな血管形成の周囲の周細胞被覆面をα−SMA局在性により調べた。野生型マウスにおいて、これらの血管は、PECAMとα−SMAの同時局在性を示した(左側パネル)。しかしながら、Dll4+/-マウスの腫瘍血管において、内皮細胞を裏打ちしているα−SMA陽性細胞の数は、大いに減少した(右側パネル)。(E)Dll4は、腫瘍の殆どの血管で活性化されているが、すべての血管ではない。隣接する腫瘍区画のβ−gal(左側パネル)及びPECAM免疫染色(右側パネル)は、内皮特異的PECAM染色が、lacZ Dll4−レポーター発現より一層豊富であることを示している。
sDll4の生化学的特性を示した図である:(A)Notch−Fc融合タンパク質をELISAプレート上に直接被覆した。sDll4−APをNotch−Fcに結合させて、結合したDll4をAPの基質を加えることにより定量した。sDll4−APは、効率的にNotch1に結合したが、Notch3には結合しなかった(左パネル)。sDll−4Fc及びsDll4−HisのNotchへの結合を調べた。(B)HUVEC細胞を、sDll4−Fc、sDll4−His用発現ベクター又はベクター単独によりトランスフェクトした。Notch応答性Hes−2遺伝子発現は、sDll4タンパク質によって誘導されなかった。(C)HUVEC細胞を、Dll4−FL(完全長)を発現するchoKと同時培養した場合に、Hes−1、Hey−1及びHes−2における誘導により測定されたNotch活性化。組換えsDll4−Fc及びsDll4−Hisの添加は、Notch応答性遺伝子の誘導を減じた。2つの独立した実験が、同様の結果を生じた。
sDll4は、血管応答を誘導するが、マウスマトリゲルアッセイにおいて潅流に欠けることを示した図である:(A)マトリゲルをBalb/C nu/nuマウスに皮下注射した。6日後に、プラグを取り出してパラフィン中で処理した。2つの独立した実験において、個々の切片をH&Eで染色して、3つのプラグからの倍率20倍の典型的写真を示してある。(B)マトリゲルプラグをPECAMにつき染色した。4×/0.13NA対物レンズと10×接眼レンズを取り付けたNikon Eclipse E400顕微鏡上の Nikon Coolpix 5000カメラで顕微鏡写真を撮った。血管新生した領域の定量を、棒グラフにおいて、すべてのプラグから平均した(±SEM)(Scion Imageソフトウェア)。P値<0.01。
sDll4は、マウスの腫瘍異種移植片モデルにおいて腫瘍の成長を阻害することを示した図である:(A)マウス(n=6/グループ)は、1×106HT29細胞をPBS又はsDll4−Fc又はsDll4−His(5μg/ml)を有するマトリゲル調製物中に有する移植物を与えられて腫瘍の体積を2週間後に測定し、腫瘍を採取して分析した。腫瘍の体積は、sDll4アームにおいて有意に小さい(図6A)。この実験を2回繰り返した。(B)sDll4の外因性の発現の効果の評価において、HT29を、Dll4−FL、sDll4−Fc、sDll4−Hisを有する発現ベクターで、又はベクターのみでトランスフェクトした。切り詰めたCD4の同時発現を行なって、トランスフェクトされた細胞のソーティングを可能にした。同数のトランスフェクトされた細胞をマウス(n=6/グループ)に移植した。腫瘍の体積を評価した(図6B)。腫瘍の体積は、sDll4グループにおいて有意に小さかった。(C)微小循環系を、PECAM免疫染色により評価し、血管の体積を方法の節に記載したように計った。
(D)低酸素(hypoxy)プローブを注入した後で腫瘍を採取し、次いで、腫瘍切片を、方法に記載したように、MAb及び蛍光標識した二次抗体でプローブした。低酸素領域を、方法に記載したようにImageJを用いて計った。すべての値は、平均±SEMで表されている。*P<0.01(スチューデントのt検定による)。顕微鏡写真を、Nikon Coolpix 5000(商標)カメラ及び倍率10倍の接眼レンズを付けたNikon Eclipse E400 (商標)顕微鏡を用いて撮った。倍率は、20×/0.5NA対物レンズであった。18(E)血管潅流(vascular perfusion)を、蛍光標識したレクチンをマウスを犠牲にする10〜15分前に注入して腫瘍を採取することによって測定した。血管は、PECAM染色によって輪郭が描かれたが、レクチンは、潅流された領域に局在した。レクチン及びPECAMは、対照群では、一緒に局在化したが、sDll4グループは、顕著な潅流の欠如を示した。
(F)α−SMAの腫瘍血管における局在性。対照グループは、α−SMAとPECAMの一緒の局在性を示したが、sDll4グループは、少数のα−SMA陽性細胞を微小血管に有した。
可溶性Dll4は、マウス異種移植片モデルにおいて腫瘍の成長をイン・ビボで阻害することを示した図である。Dll4−E6(SEQ ID NO:1の残基1〜422)は、EGF様ドメイン7及び8を欠くが、これを、移植後5日目から、5mg/kgで週3回腹腔内投与した。高濃度でのヒト動脈内皮細胞(HUAEC)におけるVEGF刺激された萌芽。Dll4−E6のVEGF中和抗体(アバスチン)と組み合わされた効果も調べた。アバスチンも、移植後5日目から、10mg/kgで、週3回腹腔内投与された。
抗Dll4抗体のエピトープマッピングを示した図である:(A)アルカリホスファターゼに融合されたDll4の切り詰め変異体の完全なセットの図解。各々Dll4に対する特異的な結合領域を有する4つの別々のクローンが同定された。(B)4μg/ml(100μl)のDll4抗体を、PBS中で、4℃で、ELISAプレート上に被覆する。このプレートを0.5%BSAで2時間ブロックしてから、アルカリホスファターゼと融合された可溶性Dll4タンパク質20ngを加える。室温で45分間のインキュベーション後に、このプレートを、PBSTで洗い、PNPPと、37℃で、20分間インキュベートする。この実験を少なくとも3回繰り返した。
ヒトDll4(hDll4)、マウスDll4(mDll4)、及びヒトDll1(hDll1)のタンパク質配列のアラインメントを示した図である。N末端からC末端へ向かって、最初の影を付けた領域は、抗体クローン#2−6のエピトープを示している。2番目の影を付けた領域は、DSL領域を現している。3番目の影を付けた領域は、EGF様3(E3)ドメインを含み、抗体クローン#61Bのエピトープを示している。
抗Dll4抗体の特性表示を示した図である:(A)ヒトDll4抗体を、可溶性ヒトDll4−Hisタンパク質(SEQ ID NO:1のアミノ酸1〜524)による免疫化によりマウスにおいて製造した。4つの抗体クローンをまとめた。(B)2つの抗体クローン#2−6及び#61Bは、Dll4−Notch1相互作用を効率的に中和する。0.5μg/ml(100μl)Notch1−FcをELISAプレート上に、PBS中で、一晩、4℃で被覆する。このプレートを、0.5%BSAで2時間ブロックしてから、示した量のDll4抗体(アルカリホスファターゼと融合された50ngの可溶性Dll4と予め混合したもの)を加える。室温で45分間のインキュベーション後に、このプレートを、PBSTで洗い、PNPPと37℃で1.5時間インキュベートする。この実験を、少なくとも3回繰り返した。
Dll4抗体クローン#61Bの可変領域VH(SEQ ID NO:4)とVL(SEQ ID NO:5)を同定する配列を示した図である。
Dll4抗体クローン#2−6の可変領域VH(SEQ ID NO:6)とVL(SEQ ID NO:7)を同定する配列を示した図である。
Dll4−Fc融合タンパク質のリンカーの処理。融合タンパク質の間のこのリンカー領域は、関心あるタンパク質の機能に影響を与えうることを示した図である。Dll4(E6)とヒトIgG1Fc(Fcヒンジ領域内のEPKSから始まる)との間の3つの異なるリンカーを調べた。L1及びL2融合タンパク質の間で3倍の差がある。Dll4−L2−Fcを、腫瘍異種移植片研究のために選択した。ELISAプレートを、0.5μg/ml(100μl)Notch1−Fcで、PBS中で、4℃で、一晩、被覆してから、0.5%BSAで2時間ブロックした。示した量のDll4−Fcタンパク質又はBSAを、50ngのDll4(E8)−APと予め混合してから加えた。室温で45分間のインキュベーション後に、このプレートをPBSTで洗い、PNPPと37℃で1時間インキュベートした。] 図6A 図6B
[0027] 本発明は、部分的に、デルタ様4機能がイン・ビボでの血管形成に必須であるという発見、更には、デルタ様4活性の増加は、動脈内皮細胞の増殖増大及び内皮細胞による動脈的アイデンティティの採用増大と関係しているという発見に基いている。出願人は、マウスに、投薬感受性の血管形成欠如を示すDll4ノックアウト変異を生成した。その上、出願人は、マウスにおけるDll4過剰発現モデルを生成して、幾つかの場合には、Dll4の増大した発現が動脈組織の肥厚を引き起こし、更に、静脈組織が動脈的アイデンティティを採用することを引き起こすということを示した。これらの結果に基いて、動脈及び静脈の微小血管の系が生成される血管形成は、Dll4活性に高度に感受性であり、Dll4の阻害又は機能亢進(hyperactivation)によって混乱されうる(例えば、阻害され又は無秩序な若しくは効果的でない仕方で生じる)ということは明らかである。従って、驚くべきことに、Dll4のアゴニストとアンタゴニストの両方が、血管形成を受けつつある腫瘍を治療するために利用することができる。その上、この発明は、Dll4の過剰発現が動脈の成長を刺激することができ、それ故、血管形成を刺激するために利用することができるという発見に関係する。動脈形成(arteriogenesis)は、副行動脈の形成及び成長の(典型的には、虚血組織での)過程である。従って、Dll4アゴニストは、末梢虚血又は冠動脈虚血などの虚血事象を患っている又はその危険にある患者を治療するために利用することができる。その上、この開示は、可溶性の単量体又は二量体のDll4ポリペプチドが、低濃度又は高濃度で、それぞれ、血管形成を阻害し又は促進するように作用しうることを示す。]
[0028] Dll4アゴニスト/アンタゴニストの決定基
この発明は、更に、関心ある薬剤がDll4シグナリングのアゴニスト又はアンタゴニストであるかどうかを評価するために使用することのできるバイオマーカーに関係する。Dll4を含むデルタタンパク質に一般に関係する科学文献は、特定の薬剤がDll4に媒介されるシグナリングを活性化又は阻害するかどうかに関して何も明らかにしていない。例えば、Dll4及びデルタ細胞外ドメイン(例えば、可溶性単量体又は二量体形態、分子内ドメインを削除された形態、及び可溶性Fc融合物)は、様々なアッセイで試験されてきたが、認められた効果の何れがアゴニスト活性若しくはアンタゴニスト活性によるものであるか不明なままであり、又は如何なる意味をもった活性も全くないままである。その上、試薬は、Notch1及び/若しくはNotch4活性化に、又はおそらくDll4細胞内ドメインにより媒介される逆行するDll4シグナリングの活性化に影響を与えうる。試薬は又、プレセニリンプロテアーゼ活性(これは、Notch1とNotch4の両方に影響を与えうる)の活性にも影響を与えうる。本開示は、Dll4活動高進が内皮細胞に動脈的表現型(EphrinB2及びコネキシン37の発現を特徴とする)を採用させるが、Dll4機能喪失は、内皮細胞に静脈的アイデンティティ(EphB4の発現を特徴とする)を採用させることを示す。このDll4活性の一般に認められたイン・ビボでの効果に関する情報は、Dll4シグナリングのアゴニスト又はアンタゴニストとして公知の及び新規に発見された薬剤の両方の同定を可能にする。]
[0029] 薬剤
従って、ある面において、この開示は、癌並びに血管形成関連疾患及び望ましくない血管形成関連過程の治療に用いることのできる多くのポリペプチド化合物(薬剤)を与える。]
[0030] Dll4は、Notchリガンドであって、シグナル配列、DSLドメイン、8個の上皮成長因子様反復、膜貫通ドメイン、及び細胞内領域を含む(これらのすべては、デルタタンパク質ファミリーのメンバーの特徴である)。デルタ−4mRNAの組織分布は、以前に、Notch−4(Int−3)転写物について記載されたものに似ている。デルタ−4の細胞外部分の可溶性形態は、ヒトの大動脈内皮細胞の見かけの増殖を阻害するが、ヒトの肺動脈内皮細胞のそれを阻害しない。Yoneya等、J. Biochem. Vol. 129, p.27-34 (2001)。]
[0031] タンパク質のNotchファミリーのメンバーは、特徴的な多数の上皮成長因子(EGF)様反復並びにRAM、アンキリン様反復及びPEST配列などの保存されたドメインを含む膜貫通レセプターである。Notchタンパク質のリガンドは、キイロショウジョウバエのデルタ及びセレイト、C.エレガンスのLAG−2及びAPX−1、並びに脊椎動物のデルタ及びセレイト(又は、ジャギド)を含む。これらのリガンドは又、膜貫通タンパク質でもあり、可変数のEGF様反復の上流に高度に保存されたDSL(デルタ−セレイト−LAG−2)モチーフを含む。このDSLドメインは、Notchリガンドの特徴であって、タンパク質機能に重要であり;それ故、LAG−2のDSLドメインの点突然変異は、活性の喪失を生じる。脊椎動物のデルタ及びジャギド(セレイト)タンパク質は、類似の構造を示すが、タンパク質の各グループは、幾つかの別個の特徴をも有する。従って、脊椎動物のデルタタンパク質は、8個のEGF様反復を含むが、ジャギドタンパク質は、16のかかる反復を含む。その上、EGFドメインの後には、ジャギドタンパク質では、システインリッチなドメインが続くが、デルタタンパク質では続かない。しかしながら、これらの構造的差異の意義は、不明なままである。]
[0032] Uyttendaele等(1996)は、マウスNotch4遺伝子の完全なコード領域に対応するcDNAをクローン化した。イン・サイチューハイブリダイゼーションは、Notch4転写物が、胚及び成体の生活において、主に内皮細胞に限られていることを示したが、これは、脊椎動物内皮細胞の発生におけるNotch4の役割を示唆している。]
[0033] Li等(Genomics, 1998 Jul 1;51(1):45-58)は、ヒトNOTCH4遺伝子が、30個のエキソンを含み、約30kbに及ぶことを報告した。彼らは、6.7kbNOTCH4(S)及び9.3kbNOTCH4(L)mRNAイソ型に対応するcDNAを単離した。NOTCH4(S)によりコードされる予想されるタンパク質は、2,003アミノ酸長であり、特徴的なNotchモチーフを含んでいる:シグナルペプチド、29上皮成長因子(EGF)様反復、3個のNotch/lin−12反復、膜貫通領域、6個のcdc10(603151)/アンキリン反復、及びPEST保存された領域(C末端)。マウス及びヒトのNOTCH4タンパク質の配列は、82%同一である。不完全にスプライシングを受けたNOTCH4(L)cDNAは、潜在的に、2つの異なるタンパク質をコードしている。一つは、最初の7つのEGF反復よりなる。第2のものは、膜貫通ドメイン及び細胞内領域を含み、マウスのint3プロトオンコタンパク質に類似している。ノーザンブロット分析は、NOTCH4(S)が主要な転写物であって、広範な組織で発現されていることを示した。]
[0034] Krebs等(2000)は、Notch4欠損マウスを遺伝子ターゲティングにより生成した。この変異についてホモ接合体の胚は、正常に発生し、ホモ接合体変異体の成体は、生存可能であり且つ生殖可能であった。しかしながら、Notch4変異は、関連Notch1遺伝子の標的変異との遺伝的相互作用を示した。Notch1変異体とNotch1/Notch4二重変異体胚の両者は、血管形成のリモデリングにおいて重篤な欠損を示した。Notchファミリーレセプターのリガンドをコードする遺伝子の発現パターンの分析は、Dll4遺伝子のみが、初期胚血管系のNotch1及びNotch4レセプターのリガンドをコードする遺伝子について予想されるものと一致するパターンで発現されることを示した。それ故、Notchシグナリング経路には、血管の形態形成及びリモデリングの調節において、必須の役割があり、Notch4遺伝子が胚発生中には必須でなくても、Notch4及びNotch1遺伝子は、マウスの胚形成時には、部分的に重複する役割を有することを示している。]
[0035] 上記のように、この開示は、Dll4シグナリングのアゴニスト及びアンタゴニストを利用し及び同定するための方法を提供する。候補のアゴニスト及びアンタゴニストは、一般に、Dll4シグナリング経路に含まれるタンパク質(例えば、Dll4、Notch1、Notch4及びプレセニリンを含む)又はその可溶性部分に結合する任意の抗体である。候補のアゴニスト及びアンタゴニストは又、この経路のメンバーに結合し又は変化をもたらす小型分子又は他の薬剤であってもよい。アンチセンス又はRNAi核酸は、Dll4、Notch1、Notch4若しくはプレセニリンのアンタゴニストとして又はこのシグナリング経路の他のメンバーとして用いることができる。]
[0036] 薬剤の例には、下記が含まれる:
(a)Dll4に選択的に結合する抗体;
(b)Notch1に選択的に結合する抗体;
(c)Notch4に選択的に結合する抗体;
(d)Notch1及びNotch4に結合する抗体;
(e)Dll4のNotchレセプター結合性部分を含むポリペプチド単量体;
(f)Dll4のNotchレセプター結合性部分を含むポリペプチド二量体;
(g)Dll4のNotchレセプター結合性部分を含む2以上のポリペプチドを含むポリペプチド多量体;
(h)Notch1又はNotch4のDll4結合性部分を含むポリペプチド単量体;
(i)Notch1又はNotch4のDll4結合性部分を含む2以上のポリペプチドを含むポリペプチド多量体。]
[0037] プレセニリン活性又は他のメタロプロテイナーゼ(例えば、クズバニアン)に干渉する薬剤は、Dll4シグナリングを調節することが予想される。これらの薬剤の各々は、ここに記載したように、アゴニスト活性又はアンタゴニスト活性について評価することができる。]
[0038] Dll4ポリペプチド
ある面において、この薬剤は、例えば、SEQID NO:1のアミノ酸27〜531に示したようなDll4タンパク質の細胞外ドメインを含む可溶性のポリペプチドである。特定の具体例において、このDll4可溶性ポリペプチドは、Dll4タンパク質のDSLドメインを含む。他の具体例において、このDll4可溶性ポリペプチドは、EGF様ドメインの少なくともドメイン5又は6を含む切り詰められたものである。]
[0039] ここで用いる場合、主題の可溶性ポリペプチドは、Dll4可溶性ポリペプチドの断片、機能的変異体、及び修飾型を含む。これらの主題の可溶性ポリペプチドの断片、機能的変異体、及び修飾型は、Dll4のアゴニスト又はアンタゴニストとしての活性について、内皮細胞における動脈的又は静脈的表現型に対する効果を評価することによって試験することができる。]
[0040] ある具体例において、主題の可溶性ポリペプチドの単離された断片は、Dll4をコードする核酸の対応する断片から組換えにより生成されたポリペプチドをスクリーニングすることにより得ることができる。加えて、断片を、メリフィールド固相f−Moc又はt−Boc化学などの公知の技術を利用して、化学的に合成することができる。これらの断片は、(組換えにより又は化学合成によって)製造して、Dll4シグナリングを調節することができるペプチド断片を同定するために試験することができる。]
[0041] ある具体例において、Dll4可溶性ポリペプチドの機能性変異体は、SEQID NO:1のアミノ酸配列の残基27〜531に対して、少なくとも90%、95%、97%、99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含む。]
[0042] ある具体例において、本発明は、機能的変異体を、主題の可溶性ポリペプチドの構造を、治療的若しくは予防的効力又は安定性(例えば、生体外での貯蔵寿命及びイン・ビボでのタンパク質加水分解による分解に対する耐性)を増進するなどの目的のために、改変することにより作ることを企図している。改変された可溶性ポリペプチドは、例えば、アミノ酸の置換、欠失又は付加によって製造することができる。例えば、孤立したロイシンのイソロイシン若しくはバリンによる置換、アスパラギン酸のグルタミン酸による置換、スレオニンのセリンによる置換、又は同様のアミノ酸の構造的に関連のあるアミノ酸による置換(例えば、保存的変異)は、その結果生成する分子の生物学的活性に大きな影響を有しないであろうと予想することは妥当なことである。保存的置換は、その側鎖が関連するアミノ酸のファミリー内で行なわれる置換である。]
[0043] この発明は、更に、Dll4ポリペプチドのコンビナトリアル変異体のセット、並びに切り詰めた変異体を生成する方法を企図しており、機能的変異体配列を同定するのに特に有用である。かかるコンビナトリアルライブラリーをスクリーニングする目的は、例えば、Dll4のアゴニスト又はアンタゴニストとして作用しうる可溶性ポリペプチド変異体を生成することであってよい。天然の可溶性ポリペプチドと比較して選択的効能を有するコンビナトリアル化学により得られる変異体を生成することができる。かかる変異体タンパク質は、組換えDNA構築物から発現される場合には、遺伝子治療プロトコールにおいて利用することができる。同様に、突然変異誘発は、対応する野生型の可溶性ポリペプチドと劇的に異なる細胞内半減期を有する変異体を生じさせることができる。例えば、変化したタンパク質は、関心あるタンパク質(例えば、可溶性ポリペプチド)の破壊或は不活性化を生じるタンパク質加水分解による分解又は他の細胞過程に対する一層大きな又は一層小さな安定性を与えられうる。かかる変異体及びそれらをコードする遺伝子は、主題の可溶性ポリペプチドのレベルを、それらの半減期を調節することにより変えるために利用することができる。短い半減期は、一層一過性の生物学的効果を生じることができ、誘導可能な発現系の部分である場合には、細胞内での組換え可溶性ポリペプチドレベルの一層厳密な制御を可能にする。上記のように、かかるタンパク質及び特にそれらの組換え核酸構築物は、遺伝子治療プロトコールにおいて利用することができる。]
[0044] 潜在的同族体のライブラリーを、縮重オリゴヌクレオチド配列から生成することのできる多くの方法がある。縮重遺伝子配列の化学合成を自動DNA合成装置で行なうことができ、合成された遺伝子を、次いで、発現のための適当な遺伝子にライゲーションすることができる。遺伝子の縮重セットの目的は、一混合物中に、潜在的な可溶性ポリペプチド配列の所望のセットをコードするすべての配列を与えることである。縮重オリゴヌクレオチドの合成は、当分野で周知である(例えば、Narang, SA (1983) Tetrahedron 39:3; Itakura等、(1981) Recombinant DNA, Proc. 第三回Clevelandシンポジウム.Macromolecules, AG Walton編、Amsterdam: Elsevier p273-289; Itakura等、(1984) Annu. Rev. Biochem. 53:323; Itakura等、(1984) Annu. Rev. Biochem. 53:323; Itakura等、(1984) Science 198:1056; Ike等、(1983) Nucleic Acid Res. 11:477参照)。かかる技術は、他のタンパク質の方向付けた進化において採用されている(例えば、Scott等、(1990) Science 249:386-390; Roberts等、(1992) PNAS USA 89:2429-2433; Devlin等、(1990) Science 249: 404-406;Cwirla等、(1990) PNAS USA 87:6378-6382; 並びに米国特許第5,223,409号、5,198,346号、及び5,096,815号参照)。]
[0045] 或は、他の形態の突然変異誘発を利用して、コンビナトリアルライブラリーを生成することもできる。例えば、可溶性ポリペプチド変異体(例えば、アンタゴニスト形態)を生成して、ライブラリーから、例えばアラニンスキャニング突然変異誘発などを利用すること(Ruf等、(1994) Biochemistry 33:1565-1572; Wang等、(1994) J. Biol. Chem. 269:3095-3099; Balint等、(1993) Gene 137:109-118; Grodberg等、(1993) Eur. J. Biochem. 218:597-601; Nagashima等、(1993) J. Biol. Chem. 268:2888-2892; Lowman等、(1991) Biochemistry 30:10832-10838; 及び Curnningham等、(1989) Science 244:1081-1085)により、リンカースキャニング突然変異誘発(Gustin等、(1993) Virology 193:653-660; Brown等、(1992) Mol. Cell Biol. 12:2644-2652; McKnight等、(1982) Science 232:316)により;飽和突然変異誘発(Meyers等、(1986) Science 232:613)により;PCR突然変異誘発(Leung等、(1989) Method Cell Mol Biol 1:11-19)により;又は化学的突然変異誘発などを含むランダム突然変異誘発(Miller等、(1992) A Short Course in Bacterial Genetics, CSHLPress, Cold Spring Harbor, NY; 及びGreener等、(1994) Strategies in Mol Biol 7:32-34)によって単離することができる。リンカースキャニング突然変異誘発は、特にコンビナトリアルセッティングにおいて、切り詰められた(生物活性な)形態の主題の可溶性ポリペプチドを同定するための魅力的な方法である。]
[0046] 当分野では、点突然変異及び切り詰めにより作成されたコンビナトリアルライブラリーの遺伝子産物をスクリーニングするための、さらに言えば、ある特性を有する遺伝子産物についてcDNAライブラリーをスクリーニングするための広範な技術が知られている。かかる技術は、一般に、主題の可溶性ポリペプチドのコンビナトリアル突然変異誘発により生成された遺伝子ライブラリーの迅速なスクリーニングに適合しうるであろう。大きい遺伝子ライブラリーをスクリーニングするために最も広く用いられている技術は、典型的には、遺伝子ライブラリーを複製可能な発現ベクター中にクローン化し、その結果生成したライブラリーのベクターを用いて適当な細胞をトランスフォームして、それらのコンビナトリアル遺伝子を、所望の活性の検出が、産物が検出された遺伝子をコードしているベクターの比較的容易な単離を促進する条件下で発現させることを含む。下記の説明用のアッセイの各々は、コンビナトリアル突然変異誘発技術により造られる大量の縮重配列をスクリーニングするのに必要な高スループットアッセイを施すことができる。]
[0047] ある具体例において、この発明の可溶性ポリペプチドは、更に、翻訳後修飾を含むことができる。かかる修飾は、アセチル化、カルボキシル化、グリコシル化、リン酸化、脂質化及びアシル化を含むが、これらに限られない。結果として、修飾された可溶性ポリペプチドは、非アミノ酸要素例えばポリエチレングリコール、脂質、多糖類又は単糖類、及びリン酸塩を含むことができる。かかる非アミノ酸要素の可溶性ポリペプチドの機能性に対する影響は、Dll4に対するアゴニスト効果又はアンタゴニスト効果について試験することができる。]
[0048] ある面において、主題の可溶性ポリペプチドの機能的変異体又は修飾型は、可溶性ポリペプチドの少なくとも一部と少なくとも一の融合ドメインを有する融合タンパク質を含む。かかる融合ドメインの周知の例には、ポリヒスチジン、Glu−Glu、グルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)、チオレドキシン、プロテインA、プロテインG、及び免疫グロブリン重鎖定常領域(Fc)、マルトース結合性タンパク質(MBP)(これらは、アフィニティークロマトグラフィーによる融合タンパク質の単離に特に有用である)が含まれるが、これらに限られない。アフィニティー精製の目的のためには、アフィニティークロマトグラフィーに適したマトリクス例えばグルタチオン−、アミラーゼ−、及びニッケル−若しくはコバルト−複合樹脂が用いられる。当分野で周知の他の融合ドメインは、グリーン蛍光タンパク質(GFP)である。融合ドメインは又、「エピトープタグ」をも含み、これらは、通常、短いペプチド配列であって、それらに対する特異的抗体を利用することができる。特異的モノクローナル抗体を容易に利用することのできる周知のエピトープタグには、FLAG、インフルエンザウイルスヘマグルチニン(HA)、及びc−mycタグが含まれる。幾つかの場合には、これらの融合ドメインは、適切なプロテアーゼに融合タンパク質を部分的に消化させ、それにより、組換えタンパク質を遊離させる因子Xa又はトロンビンなどのプロテアーゼ開裂部位を有する。遊離されたタンパク質は、次いで、融合ドメインから、その後のクロマトグラフィー分離によって単離することができる。ある具体例において、本発明の可溶性ポリペプチドは、これらの可溶性ポリペプチドを安定化することのできる一以上の修飾を含む。例えば、かかる修飾は、これらの可溶性ポリペプチドのイン・ビトロ半減期を増進し、循環半減期を増進し、又はタンパク質加水分解による分解を減少させる。]
[0049] ある具体例において、この発明の可溶性ポリペプチド(修飾されてないもの又は修飾されたもの)は、当分野で公知の様々な技術によって製造することができる。例えば、かかる可溶性ポリペプチドは、標準的タンパク質化学の技術例えばBodansky, M. Principles of Peptide Synthesis, Springer Verlag, Berlin (1993)及びGrant G. A. (編),Synthetic Peptides: A User's Guide, W. H. Freeman及びCompany, New York (1992)に記載されたようなものを用いて合成することができる。加えて、自動ペプチド合成装置が、市販されている(例えば、Advanced Chem Tech Model 396; Milligen/Biosearch 9600)。或は、これらの可溶性ポリペプチド、それらの断片又は変異体は、当分野で周知の様々な発現系を用いて、組換えにより製造することもできる(下記も参照されたい)。]
[0050] 遺伝子治療
ある面において、この発明は、Dll4ポリペプチドをコードする単離された及び/又は組換えの核酸に関係する。これらの主題の核酸は、一本鎖又は二本鎖のDNA又はRNA分子であってよい。これらの核酸は、治療剤として有用である。例えば、これらの核酸は、細胞又は個体に治療剤として投与される組換え可溶性ポリペプチドの作成において有用である。或は、これらの核酸は、遺伝子治療におけるように、治療剤として、細胞又は個体に直接投与することができる。]
[0051] ある具体例において、この発明は、SEQID NO:2に描いたヌクレオチド配列の領域と少なくとも80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%又は100%同一である単離された又は組換えの核酸配列を提供する。当業者は、主題の核酸及びそれらの変異体に相補的な核酸配列も又、この発明の範囲内にあることを認めるであろう。更なる具体例において、この発明の核酸配列は、単離され、組換え及び/又は異種ヌクレオチド配列と融合されてよく、又はDNAライブラリー中にあってよい。]
[0052] 他の具体例において、この発明の核酸は又、高度にストリンジェントな条件下で、SEQID NO:2に描いたヌクレオチド配列又はその相補的配列とハイブリダイズするヌクレオチド配列である。上記のように、当業者は、DNAハイブリダイゼーションを促進する適当なストリンジェンシーの条件は変化しうるということを容易に理解するであろう。当業者は、DNAハイブリダイゼーションを促進する適当なストリンジェンシーの条件は変化しうるということを容易に理解するであろう。例えば、ハイブリダイゼーションを、6.0×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)で、約45℃で行い、その後、2.0×SSCの洗浄を50℃で行なうことができよう。例えば、洗浄ステップの塩濃度は、低ストリンジェンシーの50℃での約2.0×SSCから高ストリンジェンシーの50℃での約0.2×SSCから選択することができる。加えて、洗浄ステップでの温度は、室温(約22℃)の低ストリンジェンシー条件から約65℃の高ストリンジェンシー条件まで増大させることができる。温度と塩の両方を変えることができ、又は温度又は塩濃度を、他の変量を変化させつつ一定に維持することもできる。一具体例において、この発明は、6×SSC(室温)の低ストリンジェンシー条件下でハイブリダイズし、その後、室温で2×SSCで洗浄される核酸を提供する。]
[0053] 遺伝コードの縮重により主題の核酸と異なるものとなっている単離された核酸も又、この発明の範囲内にある。例えば、幾つかのアミノ酸は、一種より多くのトリプレットによって指定される。同じアミノ酸を特定するコドン即ちシノニム(例えば、CAUとCACは、ヒスチジンに対するシノニムである)は、タンパク質のアミノ酸配列に影響しない「サイレント」変異を生じうる。しかしながら、主題のタンパク質のアミノ酸配列の変化へ導くDNA配列多型が哺乳動物細胞間で存在するであろうということが予想される。当業者は、所与の種の個体間で、自然のアレル変異のために、特定のタンパク質をコードする核酸の一つ以上のヌクレオチド中にこれらの変異が存在しうる(最大で約3〜5%)ということを認めるであろう。任意の及びすべてのかかるヌクレオチド変異及びその結果のアミノ酸多型は、この発明の範囲内にある。]
[0054] ある具体例において、この発明の組換え核酸は、発現用構築物中の一以上の調節用ヌクレオチド配列に操作可能に結合されうる。調節用ヌクレオチド配列は、一般に、発現に用いられる宿主細胞に適したものである。様々な宿主細胞について、多くの種類の適当な発現ベクター及び適当な調節用配列が、当分野では知られている。典型的には、該一つ以上の調節用ヌクレオチド配列には、プロモーター配列、リーダー若しくはシグナル配列、リボソーム結合部位、転写開始及び終結配列、翻訳開始及び終結配列、並びにエンハンサー又はアクチベーター配列が含まれるが、これらに限られない。当分野で公知の構成的又は誘導性のプロモーターは、この発明により企図される。これらのプロモーターは、天然のプロモーターであっても、一つより多くのプロモーターのエレメントをあわせたハイブリッドプロモーターであってもよい。発現用構築物は、細胞中で、エピゾーム例えばプラスミドとして存在してよく、又は染色体中に挿入されてもよい。好適具体例において、発現ベクターは、トランスフォームされた宿主細胞の選択を可能にする選択用マーカー遺伝子を含む。選択用マーカー遺伝子は、当分野で周知であり、用いる宿主細胞によって変化する。]
[0055] この発明のある面において、主題の核酸は、Dll4ポリペプチドをコードし、少なくとも一の調節用配列に操作可能に結合されたヌクレオチド配列を含む発現ベクターにて与えられる。調節用配列は、当分野で認められており、可溶性ポリペプチドの発現を指示するために選択される。従って、用語調節用配列は、プロモーター、エンハンサー、及び他の発現制御エレメントを包含する。典型的な調節用配列は、Goeddel; Gene Expression Technology: Methodsin Enzymology, Academic Press, San Diego, CA (1990)に記載されている。例えば、機能的に結合されたDNA配列の発現を制御する広範な発現制御配列の何れかをこれらのベクターにおいて利用して、可溶性ポリペプチドをコードするDNA配列を発現させることができる。かかる有用な発現制御配列は、例えば、SV40の初期及び後期プロモーター、tetプロモーター、アデノウイルス又はサイトメガロウイルス最初期プロモーター、lac系、trp系、TAC又はTRC系、発現がT7RNAポリメラーゼにより指示されるT7プロモーター、ラムダファージの主要オペレーター及びプロモーター、fdコートタンパク質に対する制御領域、3−ホスホグリセレートキナーゼ又は他の解糖系酵素のプロモーター、酸性ホスファターゼ例えばPho5のプロモーター、酵母のα−交配因子のプロモーター、バキュロウイルス系のポリヘドロンプロモーター及び原核若しくは真核細胞又はそれらのウイルスの遺伝子の発現を制御する他の公知の配列、並びにこれらの様々な組合せを包含する。発現ベクターのデザインは、トランスフォームすべき宿主細胞及び/又は発現させることを所望するタンパク質の種類の選択などの因子に依存しうることは理解されるべきである。その上、ベクターのコピー数、コピー数及び該ベクターによりコードされる任意の他のタンパク質例えば抗生物質マーカーの発現を制御する能力も又、考慮すべきである。]
[0056] この発明は又、主題の可溶性ポリペプチドの少なくとも一つのコード配列を含む組換え遺伝子によりトランスフェクトされた宿主細胞にも関係する。宿主細胞は、任意の原核又は真核細胞であってよい。例えば、この発明の可溶性ポリペプチドは、細菌細胞例えば大腸菌、昆虫細胞(例えば、バキュロウイルス発現系を使用)、酵母、又は哺乳動物細胞で発現させることができる。他の適当な宿主細胞は、当業者に公知である。]
[0057] 可溶性ポリペプチドを製造する方法
従って、本発明は、更に、主題の可溶性ポリペプチドを製造する方法にも関係する。例えば、Dll4可溶性ポリペプチドをコードする発現ベクターでトランスフェクトした宿主細胞は、適当な条件下で培養してDll4可溶性ポリペプチドの発現を生じさせることができる。このDll4可溶性ポリペプチドは、分泌されて、これらの可溶性ポリペプチドを含む細胞と培地の混合物から単離されうる。或は、これらの可溶性ポリペプチドは、細胞質内又は膜画分に保持されうる。そして細胞を採取して、溶解させて、タンパク質を単離することができる。細胞培養物は、宿主細胞、培地及び他の副生物を含む。細胞培養に適した培地は、当分野で周知である。これらの可溶性ポリペプチドは、細胞培養培地、宿主細胞、又は両方から、タンパク質を精製するための当分野で公知の技術(イオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、限外濾過、電気泳動、及び可溶性ポリペプチドの特定のエピトープに特異的な抗体を利用するイムノアフィニティー精製を含む)を用いて単離することができる。好適具体例において、この可溶性ポリペプチドは、精製を容易にするドメインを含む融合タンパク質である。]
[0058] この発明の組換え核酸は、クローン化した遺伝子又は、その部分を、原核細胞、真核細胞(酵母、鳥類、昆虫又は哺乳動物)、又は両方における発現に適したベクターに連結することにより生成することができる。組換え可溶性ポリペプチドの生成のための発現用ビヒクルは、プラスミド及び他のベクターを含む。例えば、適当なベクターは、次の型のプラスミドを含む:原核細胞例えば大腸菌における発現のためのpBR322由来のプラスミド、pEMBL由来のプラスミド、pEX由来のプラスミド、pBTac由来のプラスミド及びpUC由来のプラスミド。]
[0059] 好適な哺乳動物発現ベクターは、細菌における該ベクターの増殖を促進するための原核生物の配列と真核細胞内で発現される少なくとも一つの真核生物の転写ユニットの両方を含む。pcDNA1/amp、pcDNA1/neo、pRc/CMV、pSV2gpt、pSV2neo、pSV2−dhfr、pTk2、pRSVneo、pMSG、pSVT7、pko−neo及びpHyg由来のベクターは、真核細胞のトランスフェクションに適した哺乳動物発現ベクターの例である。これらのベクターの幾つかは、原核及び真核細胞の両者における複製及び薬物耐性選択を容易にするために、細菌プラスミド例えばpBR322からの配列によって改変される。或は、ウイルス例えばウシパピローマウイルス(BPV−1)の誘導体、又はエプスタイン−バールウイルス(pHEBo、pREP由来及びp205)を、真核細胞におけるタンパク質の一過性の発現のために利用することもできる。他のウイルス(レトロウイルスを含む)性発現系の例は、以下で、遺伝子治療用送達システムの記載において見出すことができる。これらのプラスミドの製造及び宿主生物体のトランスフォーメーションに用いられる様々な方法は、当分野で周知である。原核及び真核細胞の両者のための他の適当な発現系、並びに一般的な組換え手順については、Molecular Cloning A Laboratory Manual, 第二版(Sambrook, Fritsch及びManiatis編)(Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1989)、第16及び17章を参照されたい。幾つかの場合には、組換えSLC5A8ポリペプチドをバキュロウイルス発現系の利用により発現させることが望ましい。かかるバキュロウイルス発現系の例は、pVL由来のベクター(例えば、pVL1392、pVL1393及びpVL941)、pAcUW由来のベクター(例えば、pAcUW1)、及びpBlueBac由来のベクター(例えば、β−gal含有pBlueBacIII)を含む。]
[0060] 融合遺伝子を作成する技術は、周知である。本質的に、種々のポリペプチド配列ををコードする様々なDNA断片の結合は、ライゲーションのための平滑末端又は粘着(stagger)末端、適当な末端を与えるための制限酵素消化、付着(cohesive)末端を適宜埋めること、望ましくない結合を回避するためのアルカリホスファターゼ処理、及び酵素的ライゲーションを用いる慣用技術に従って行なわれる。他の具体例において、融合遺伝子は、自動DNA合成装置を含む慣用技術によって合成することができる。或は、遺伝子断片のPCR増幅を、2つの連続的遺伝子断片間の相補的オーバーハングを生じさせるアンカープライマーを利用して行なうことができ、これらを、続いて、アニールしてキメラ遺伝子配列を生成することができる(例えば、Current Protocols in Molecular Biology, Ausubel等編、John Wiley & Sons: 1992 参照)。]
[0061] 抗体
ある面において、本発明は、Dll4シグナリングに対してアゴニスト又はアンタゴニスト効果を有する抗体を提供する。かかる抗体は、抗原例えばDll4、Notch1又はNotch4に結合することができる。好ましくは、この抗体は、かかる抗原の細胞外ドメインに結合する。抗体はポリクローナル又はモノクローナルであってよく;完全か又は切り詰められ(例えば、F(ab')2、Fab、Fv)ていてよく;異種、同種異系、完全ヒト抗体又はこれらの改変型(例えば、ヒト化、キメラ)であってよいということは理解される。完全ヒト抗体は、ヒト免疫グロブリン遺伝子を発現するトランスジェニック動物から選択するか又は抗体断片を発現する組換えライブラリーから組み立てることができる。]
[0062] 例えば、Dll4、Notch1又はNotch4に由来する免疫原を利用することにより、抗タンパク質/抗ペプチド抗血清又はモノクローナル抗体を、標準的プロトコールにより作成することができる(例えば、Antibodies: A Laboratory Manual Harlow及びLane編(Cold Spring Harbor Press: 1988)参照)。哺乳動物例えばマウス、ハムスター又はウサギを免疫原型のペプチドにより免疫化することができる。(例えば、抗体応答を誘出することのできるポリペプチド又は抗原性断片、又は融合タンパク質)。タンパク質又はペプチドに免疫原性を与える技術は、キャリアーへの結合又は当分野で周知の他の技術を含む。抗原の免疫原性部分を、アジュバントの存在下に、投与することができる。免疫化の進行は、血漿又は血清中の抗体力価の検出によりモニターすることができる。標準的ELISA又は他の免疫アッセイを、この免疫原を抗原として用いて、抗体のレベルを評価することができる。]
[0063] 抗原性調製物による動物の免疫化後に、抗血清を得ることができ、所望であれば、ポリクローナル抗体をこの血清から単離することができる。モノクローナル抗体を生成するために、抗体産生細胞(リンパ球)を免疫化した動物から採取して、標準的体細胞融合手順によって、不死化細胞例えばミエローマ細胞と融合させて、ハイブリドーマ細胞を生成することができる。かかる技術は、当分野で周知であり、例えば、ハイブリドーマ技術(最初に、Kohler及びMilstein, (1975) Nature, 256: 495-497により開発されたもの)、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Kozbar等、(1983) Immunology Today, 4: 72)、及びヒトモノクローナル抗体を生成するためのEBVハイブリドーマ技術(Cole等、(1985) Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, Alan R. Liss, Inc. p.77-96)を含む。ハイブリドーマ細胞は、Dll4、Notch1、Notch4又は他の標的ポリペプチドと特異的に反応する抗体の産生につき、免疫化学的にスクリーニングすることができ、かかるハイブリドーマ細胞を含む培養物からモノクローナル抗体を単離することができる。]
[0064] 用語「抗体」は、ここで用いる場合、やはり抗原と特異的に反応するその断片を包含することを意図している。抗体は、慣用技術を利用して断片化することができ、それらの断片を、上記の全抗体と同様にして用途のためにスクリーニングすることができる。例えば、F(ab)2断片は、抗体をペプシンで処理することにより生成することができる。その結果生成したF(ab)2断片を処理して、ジスルフィド橋を還元してFab断片を生成することができる。本発明の抗体は、更に、二特異的分子、一本鎖分子、並びにキメラ分子及びヒト化分子(抗体の少なくとも一のCDRにより与えられる抗原に対する親和性を有する)を包含することを意図している。一本鎖抗体の製造のための技術(米国特許第4,946,778号)は又、一本鎖抗体を製造するために改作することもできる。トランスジェニックマウス又は他の生物体(他の哺乳動物を含む)を利用して、ヒト化抗体を発現させることもできる。好適具体例において、これらの抗体は、更に、それらに結合された検出しうる標識(例えば、この標識は、放射性同位体、蛍光化合物、酵素又は酵素補因子であってよい)をも含む。]
[0065] ある好適具体例において、この発明の抗体は、モノクローナル抗体であり、ある具体例においては、この発明は、新規な抗体を生成するための利用可能な方法を作成する。例えば、Dll4、Notch1又はNotch4に特異的に結合するモノクローナル抗体を生成する方法は、マウスに、検出可能な免疫応答を刺激するのに有効な抗原ポリペプチドを含むある量の免疫原性組成物を投与し、そのマウスから抗体産生細胞(例えば、脾臓からの細胞)を得、そしてそれらの抗体産生細胞をミエローマ細胞と融合させて抗体産生ハイブリドーマを得、そしてそれらの抗体産生ハイブリドーマを試験して、抗原に特異的に結合するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを同定することを含むことができる。一度得られれば、ハイブリドーマを、細胞培養にて増殖させることができ、適宜、ハイブリドーマ由来細胞がモノクローナル抗体を産生する培養条件にて増殖させることができる。このモノクローナル抗体を、細胞培養物から精製することができる。]
[0066] ある具体例において、この開示は、ここに開示した任意の抗体の、並びにここに開示した抗体に由来する少なくとも一のCDR部分、特にCDR3を含む抗体及びその抗原結合性部分のヒト化バージョンを提供する。好適具体例において、この抗体は、患者と免疫適合性であるモノクローナル抗体であり、好ましくは、臨床的に、ヒトへの投与につき許容されるものである。]
[0067] ある具体例において、一本鎖抗体、及びキメラ抗体、ヒト化抗体又は霊長類化抗体(CDRグラフト)抗体、並びにキメラの又はCDRグラフト一本鎖抗体(種々の種に由来する部分を含む)も又、抗体の抗原結合性部分として本発明に包含される。これらの抗体の様々な部分は、慣用技術によって化学的に一緒に結合することができ、又は遺伝子工学技術を利用して隣接タンパク質として製造することもできる。例えば、キメラの又はヒト化した鎖をコードする核酸を発現させて、隣接タンパク質を生成することができる。例えば、Cabilly等、米国特許第4,816,567号;Cabilly等、欧州特許第0,125,023B1号;Boss等、米国特許第4,816,397号;Boss等、欧州特許第0,120,694B1号;Neuberger, M.S.等、WO86/01533;Neuberger, M.S.等、欧州特許第0,194,276B1号;Winter, 米国特許第5,225,539号;及びWinter, 欧州特許第0,239,400B1号を参照されたい。霊長類化抗体に関しては、Newman, R. 等、BioTechnology, 10: 1455-1460 (1992)をも参照されたい。一本鎖抗体に関しては、例えば、Ladner等、米国特許第4,946,778号;及びBird, R. E.等、Science, 242: 423-426 (1988)を参照されたい。]
[0068] 更に、抗体の機能性断片(キメラ抗体、ヒト化抗体、霊長類化抗体又は一本鎖抗体の断片を含む)をも生成することができる。主題の抗体の機能性断片は、それらが由来した完全長抗体の少なくとも一の結合機能及び/又は調節機能を保持している。好適な機能性断片は、対応する完全長抗体の抗原結合機能(例えば、Dll4に対する特異性)を保持している。ある好適な機能性断片は、Dll4に特徴的な少なくとも一つの機能例えば結合活性、シグナリング活性、及び/又は細胞応答の刺激を阻害する能力を保持している。]
[0069] 下記の実施例に示すように、出願人は、Dll4に対するモノクローナル抗体並びにDll4モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞系統を生成した。これらの抗体は、更に、多くの方法例えばそれらのDll4とNotchの相互作用及びそれらの交差反応性を阻害する能力において特性決定された。更に、エピトープマッピング研究は、これらのDll4抗体が、Dll4の少なくとも一つの領域に特異的に結合しうることを示している。例えば、図21に示したように、#2−6で示された抗体クローンは、MNNLドメインを含む範囲に及ぶ領域に結合するが、#61Bで示されたクローンは、EGF様3ドメインを含む領域に結合する。同定されている他の抗体クローンは、図20Aに示したように、他のEGF様ドメインに結合する。] 図20A 図21
[0070] 加えて、望ましい抗体を同定するために抗体をスクリーニングするために用いられる技術は、得られる抗体の特性に影響しうる。例えば、ある治療目的のために用いられるべき抗体は、好ましくは、特定の細胞型を標的とすることができるであろう。従って、この型の抗体を得るためには、関心ある抗原を発現する細胞に結合する抗体についてスクリーニングするのが望ましいであろう(例えば、蛍光活性化細胞ソーティングによって)。同様にして、もし、抗体が、溶液中の抗原に結合するために用いられるものであるならば、溶液結合を試験することが望ましいであろう。様々な異なる技術を、抗体:抗原相互作用を試験して、特に望ましい抗体を同定するために利用することができる。かかる技術は、ELISA、表面プラズモン共鳴結合アッセイ(例えば、Biacore 結合アッセイ、Bia-core AB、スウェーデン国、Uppsala在)、サンドイッチアッセイ(例えば、IGEN International, Inc.、メリーランド、Gaithersburg在の常磁性ビーズシステム)、ウエスタンブロット、免疫沈降アッセイ及び免疫組織化学を含む。]
[0071] アンチセンス及びRNAi
ある面において、この開示は、Dll4転写物に生理的条件下でハイブリダイズして、細胞におけるDll4の発現を減少させる少なくとも一つの部分を含む単離された核酸化合物を提供する。かかる核酸は、ここに記載のように、Dll4アンタゴニストとして利用することができる。このDll4転写物は、任意のスプライシング前の転写物(即ち、イントロンを含む)、スプライシング後の転写物、並びに任意のスプライス変異体であってよい。ある具体例において、Dll4転写物は、SEQID NO:2に示したcDNA、特にそのコーディング部分に対応する配列を有する。ある面において、この開示は、Notch1又はNotch4転写物に生理的条件下でハイブリダイズして、細胞におけるNotch1又はNotch4の発現を減少させる少なくとも一つの部分を含む単離された核酸化合物を提供する。これらは、Dll4アンタゴニストとしても用いることができる。このNotch1又はNotch4転写物は、任意のスプライシング前の転写物(即ち、イントロンを含む)、スプライシング後転写物、並びに任意のスプライス変異体であってよい。]
[0072] 核酸化合物のカテゴリーの例には、アンチセンス核酸、RNAi構築物及び触媒性核酸構築物が含まれる。核酸化合物は、一本鎖であっても二本鎖であってもよい。二本鎖化合物は又、オーバーハングの又は非相補的な領域をも含むことができ、そこでは、これらの鎖の一方又は他方が一本鎖である。一本鎖化合物は、自己相補性である領域を含むことができ、これは、それらの化合物が、いわゆる「ヘアピン」又は「ステム−ループ」構造を二重らせん構造と共に形成することを意味している。核酸化合物は、1000ヌクレオチド以下、500ヌクレオチド以下、250ヌクレオチド以下、100ヌクレオチド以下又は50ヌクレオチド以下のDll4、Notch1又はNotch4核酸配列よりなる領域に相補的であるヌクレオチド配列を含むことができる。この相補的領域は、好ましくは少なくとも8ヌクレオチドであり、随意に、少なくとも10又は少なくとも15ヌクレオチドとなろう。相補的領域は、標的転写物のイントロン、コード配列又は非コード配列内に入りうる(例えば、コード配列部分に入りうる)。一般に、核酸化合物は、約8〜500ヌクレオチド長(又は塩基対長)を有し、適宜、この長さは、約14〜50ヌクレオチドとなろう。核酸は、DNA(特に、アンチセンスとしての使用のため)、RNA又はRNA:DNAハイブリッドであってよい。任意の一本鎖は、DNAとRNAの混合物、並びに、DNA又はRNAの何れかに容易に分類できない改変型を含むことができる。同様に、二本鎖化合物は、DNA:DNA、DNA:RNA又はRNA:RNAであってよく、任意の一の鎖も、DNA及びRNAの混合物、並びにDNA又はRNAの何れかに容易に分類できない改変型を含むことができる。核酸化合物は、様々な改変の何れかを含むことができ、該改変には、主鎖に対するもの(ヌクレオチド間結合を含む、天然核酸の糖リン酸部分)又は塩基部分に対するもの(天然核酸のプリン又はピリミジン部分)が含まれる。アンチセンス核酸化合物は、好ましくは、約15〜30ヌクレオチド長を有し、しばしば、血清、細胞又は化合物が送達されそうな場所(例えば、経口送達される化合物の場合の胃、及び吸入される化合物の場合の肺)での安定性などの特性を改善するための一つ以上の改変を含む。RNAi構築物の場合には、標的転写物に相補的な鎖は、一般に、RNA又はその改変物である。他方の鎖は、RNA、DNA又は他の変形物であってよい。二本鎖又は一本鎖「ヘアピン」RNAi構築物の二本鎖部分は、好ましくは、18〜40ヌクレオチド長の、適宜、Dicer基質として働きさえすれば、約21〜23ヌクレオチド長の長さを有する。触媒性又は酵素的核酸は、リボザイム又はDNA酵素であってよく、改変型をも含むことができる。核酸化合物は、細胞と生理的条件下で且つナンセンス又はセンスコントロールが殆どないか効果がない濃度で接触させたときに、標的の発現を、約50%、75%、90%又はそれ以上阻害することができる。核酸化合物の効果を試験するの好適な濃度は、1、5及び10マイクロモルである。核酸化合物は又、細胞表現型(例えば、動脈又は静脈のアイデンティティ)に対する効果について試験することもできる。]
[0073] スクリーニング/アッセイの方法
Dll4シグナリングのアゴニスト又はアンタゴニストとして作用する候補の薬剤のスクリーニングには多くのアプローチがある。この開示は、Dll4シグナリングのアゴニストとアンタゴニストを識別するために利用することのできる特性表示を与える。一般に、Dll4シグナリングのアゴニストは、哺乳動物内皮細胞内で、動脈表現型の発現を刺激して、静脈表現型の発現を阻害する。一般に、Dll4シグナリングのアンタゴニストは、哺乳動物内皮細胞内で、動脈表現型の発現を阻害して、静脈表現型の発現を刺激する。動脈内皮細胞と静脈内皮細胞を区別する任意の公知の特徴は、動脈表現型と静脈表現型を評価するために検出することができる。例えば、EphrinB2の発現とコネキシン37の発現は、動脈表現型の指標として利用することができる。他の例として、EphB4の発現は、静脈表現型の指標として利用することができる。]
[0074] 薬剤は、Dll4、Notch1若しくはNotch4に対する結合活性につき、又はNotch1(NICD)、Notch4若しくはDll4の活性な細胞内ドメインの生成を刺激し若しくは阻害する能力についてスクリーニングすることもできる。ヘアリー/エンハンサー・オブ・スプリット(HES)感受性プロモーターからの発現も又、Notchシグナリングが活性化されているかどうかの測定において有用でありうる。NICDは、HES及びHESに駆動されるプロモーターの発現を刺激する。]
[0075] 任意のスクリーニングシステムにより同定された化合物を、次いで、動物において試験して、それらの血管形成、動脈形成、又は抗腫瘍活性に対するイン・ビボでの効果を評価し、並びにイン・ビトロでの動脈若しくは静脈アイデンティティに対する効果を評価することができる。]
[0076] 化合物又は分子の高スループットスクリーニングを行なって、血管形成又は腫瘍成長を阻害する薬剤又は薬物を同定することができる。試験薬剤は、合成された、組換え技術により作成された又は天然起源から単離された任意の化学物質(エレメント、分子、化合物、薬物)であってよい。例えば、試験薬剤は、ペプチド、ポリペプチド、ペプトイド、糖類、ホルモン、又は核酸分子であってよい。加えて、試験薬剤は、小型分子又はコンビナトリアル化学により作成されて例えばライブラリーに構成されたより一層複雑な分子であってよい。これらのライブラリーは、例えば、アルコール、アルキルハロゲン化物、アミン、アミド、エステル、アルデヒド、エーテル及び他のクラスの有機化合物を含むことができる。試験薬剤は又、天然物であってもよいし、又は細胞(細菌、動物又は植物)の溶解物若しくは成長培地から単離された遺伝子工学による産物であってもよく、或は、細胞溶解物又は成長培地自体であってよい。試験化合物の試験系への提示は、特に初期のスクリーニング段階において、単離した形態であってもよいし又は化合物の混合物としてでもよい。]
[0077] 例えば、Dll4(リガンド)のNotch1/Notch4(レセプター)への結合を特異的に阻止する(又はその逆の)化合物について、例えば、標識したリガンド−又はレセプター−Fc融合タンパク質の不死化細胞への結合の阻害により、アッセイを行なってスクリーニングすることができる。]
[0078] 2つの細胞表面分子(例えば、Notch1及びDll4)の相互作用に干渉する物質を同定するためのアッセイの一具体例において、細胞表面分子の一つの型を発現する細胞の試料を、標識したリガンドと又は標識したリガンド及び試験化合物(又は試験化合物の群)と接触させる。これらの細胞に結合した標識したリガンドの量を測定する。試験化合物と接触させた試料中の一層少ない量の標識(標識は、例えば、放射性同位体、蛍光又は比色標識であってよい)は、試験化合物が、結合に干渉することの指標である。リガンドを発現する細胞を利用する相互アッセイを利用して、Ephレセプター又はその可溶性部分の結合に干渉する物質について試験することができる。]
[0079] Dll4とNotch1/Notch4との間の相互作用に干渉する物質を同定するためのアッセイを、試験化合物と競合しない、固体支持体に結合された成分(例えば、細胞、融合タンパク質及び結合活性を有する部分を含む精製したタンパク質)を用いて行なうことができる。この固体支持体は、任意の適当な固相又はマトリクス例えばビーズ、プレートの壁又は他の適当な表面(例えば、ミクロ滴定プレートのウェル)、カラム細孔ガラス(CPG)又は溶液(ウェル中など)に沈めることのできるピンであってよい。細胞又は精製したタンパク質の固体支持体への結合は、直接でもよいし又は一つ以上のリンカー分子を介してでもよい。]
[0080] 一具体例において、単離した又は精製したタンパク質は、適当なアフィニティーマトリクス上に、標準的技術例えば化学的架橋又は単離し若しくは精製したタンパク質に対して高めた抗体によって固定化することができ、固体支持体に結合することができる。このマトリクスは、カラム又は他の適当な容器に詰めることができ、少なくとも一種の試験すべき化合物(例えば、混合物)と、その化合物の該タンパク質への結合に適した条件下で接触される。例えば、化合物を含む溶液を作成して該マトリクスを通して流すことができる。該マトリクスは、適当な洗浄緩衝液で洗って未結合の化合物及び非特異的に結合した化合物を除去することができる。結合したままの化合物を、適当な溶出用緩衝液によって遊離させることができる。例えば、溶出用緩衝液のイオン強度又はpHの変化は、化合物の遊離へと導くことができる。或は、この溶出用緩衝液は、化合物の結合を破壊するためにデザインされた遊離用成分(例えば、適宜、試験化合物の該タンパク質への結合を破壊し又は競合的に阻害することのできる一種以上のリガンド又はレセプター、又はその類似体)を含むことができる。]
[0081] 天然で見出されるタンパク質中に存在しない第二の部分に結合されたタンパク質の全部又は一部を含む融合タンパク質を、この方法の他の具体例で用いるために調製することができる。この目的のための適当な融合タンパク質には、第二の部分がアフィニティーリガンド(例えば、酵素、抗原、エピトープ)を含むものが含まれる。これらの融合タンパク質は、該タンパク質又はその一部分をアフィニティーリガンドをコードする適当な発現ベクターに挿入することによって生成することができる。この発現ベクターを、発現のための適当な宿主細胞に導入することができる。宿主細胞を破壊して、細胞物質を、融合タンパク質を含む該細胞物質を適当なアフィニティーマトリクスに、融合タンパク質のアフィニティーリガンド部分のアフィニティーマトリクスへの結合に十分な条件下で接触させることにより、アフィニティーマトリクスと結合させることができる。]
[0082] この具体例の一面において、融合タンパク質を、適当なアフィニティーマトリクス上に、融合タンパク質のアフィニティーリガンド部分を該マトリクスに結合させるのに十分な条件下で固定化することができ、該融合タンパク質は、試験すべき一種以上の化合物(例えば、混合物)と、化合物の結合した融合タンパク質のレセプター又はリガンドタンパク質部分への結合に適した条件下で接触される。次に、この結合した融合タンパク質を有するアフィニティーマトリクスを、適当な洗浄緩衝液で洗って未結合化合物及び非特異的に結合した化合物を、特異的に結合した化合物の結合を有意に破壊することなく除去することができる。結合したままの化合物を、融合タンパク質を結合して有するアフィニティーマトリクスを適当な溶出用緩衝液(化合物溶出用緩衝液)と接触させることにより遊離させることができる。この面において、化合物溶出用緩衝液を、融合タンパク質のアフィニティーマトリクスによる保持を可能にするが、試験する化合物の融合タンパク質のレセプター又はリガンドタンパク質部分への結合に干渉するように配合することができる。例えば、溶出用緩衝液のイオン強度又はpHの変化は、化合物の遊離へと導くことができ、又はこの溶出用緩衝液は、化合物の融合タンパク質のレセプター又はリガンドタンパク質部分への結合を破壊するようにデザインされた遊離用成分(例えば、化合物の融合タンパク質のレセプター又はリガンドタンパク質部分への結合を破壊することのできる一種以上のリガンド又はレセプター、又はその類似体)を含むことができる。固定化は、適宜、融合タンパク質を化合物と接触させる前に、接触と同時に、又は接触後に行なうことができる。試験する化合物、選択したアフィニティーマトリクス、及び溶出用緩衝液の処方などの因子によって、様々な方法の入れ替えが可能である。例えば、洗浄工程後に、化合物を結合して有する融合タンパク質を、アフィニティーマトリクスから適当な溶出用緩衝液(マトリクス溶出用緩衝液)を用いて溶出させることができる。融合タンパク質がトロンビン開裂部位などの開裂可能なリンカーを含む場合には、アフィニティーリガンドからの開裂は、化合物を結合して有する融合タンパク質の一部分を遊離させることができる。次いで、結合した化合物を、融合タンパク質又はその開裂生成物から、抽出などの適当な方法によって遊離させることができる。]
[0083] 治療用応用
ある具体例において、本発明は、血管形成を阻止する方法及び血管形成関連疾患を治療する方法を提供する。他の具体例において、本発明は、腫瘍の成長を阻害し又は低減させる方法及び癌を患っている個人を治療する方法を提供する。これらの方法は、その個人に治療上有効な量の上記の一種以上のDll4シグナリングのモジュレーターを投与することを含む。これらの方法は、特に、動物特にヒトの治療及び予防的処置を目的としている。]
[0084] 上記のように、血管形成関連疾患には、血管形成依存性の癌(例えば、固形腫瘍、血液担持される腫瘍例えば白血病)、及び腫瘍の転移;良性腫瘍、例えば血管腫、聴神経腫、神経線維腫、トラコーマ、及び発熱性肉芽腫;炎症性疾患例えば免疫又は非免疫性炎症;慢性関節リウマチ及び乾癬;眼の血管形成性疾患例えば糖尿病性網膜症、未熟児網膜症、黄斑変性、角膜移植片拒絶、血管新生緑内障、後水晶体繊維増殖症、ルベオーシス;オスラー−ウェッバー症候群、角膜病、ルベオーシス、関節炎、糖尿病性新血管新生が含まれるが、これらに限られない。]
[0085] 特に、本発明の治療剤は、大腸癌、乳癌、中皮腫、前立腺癌、膀胱癌、頭頚部の扁平上皮細胞癌(HNSCC)、カポジ肉腫、及び白血病を含む(但し、これらに限られない)癌(腫瘍)を治療し又は予防するのに有用である。ある具体例において、この発明の主題の方法は、単独で用いることができる。或は、主題の方法は、増殖性疾患(例えば、腫瘍)の治療又は予防に向けられる他の慣用の抗癌治療アプローチと組み合わせて用いることができる。例えば、かかる方法は、癌の予防、癌の外科手術後の再発及び転移の防止において、及び他の慣用の癌治療の補助剤として利用することができる。本発明は、慣用の癌治療(例えば、化学療法、光線療法、免疫療法、及び外科手術)の有効性を、主題のポリペプチド治療剤の利用によって増進させることを認識する。かかる方法のある具体例において、この開示の一種以上の治療剤を、一緒に(同時に)又は異なる時点で(順次的に)投与することができる。加えて、治療剤は、癌治療のための又は血管形成阻止のための他の型の化合物と共に投与することができる。]
[0086] 慣用の化合物の広いアレイは、抗新生物活性を有することが示されている。これらの化合物は、化学療法における医薬として、固形癌を収縮させ、転移及び更なる成長を防止し、又は白血病若しくは骨髄の悪性腫瘍における悪性細胞の数を減らすために用いられてきた。化学療法は、様々な種類の悪性腫瘍の治療に有効であったが、多くの抗新生物化合物は、望ましくない副作用を誘発する。2種類以上の異なる治療剤を組み合わせた場合、それらの治療剤は、共同作用的に働いて各治療剤の投薬量を減らすことを可能にし、それにより、各化合物の一層高い投薬量により生じる有害な副作用を低減することが示されている。他の事例において、治療剤に不従順な悪性腫瘍は、2種類以上の異なる治療剤の組合せ療法には応答しうる。]
[0087] 本発明の治療剤を他の慣用の抗新生物剤と組み合わせて、同時に又は順次的に投与する場合、かかる治療剤は、該抗新生物剤の治療効果を増進させ又は細胞のかかる抗新生物剤への耐性を克服することが示される。これは、抗新生物剤の投薬量の減少を可能にし、それにより、望ましくない副作用を低減させ又は抵抗性細胞における抗新生物剤の効力を回復させることを可能にする。]
[0088] 組合せ抗腫瘍療法に利用することのできる医薬化合物には、単に説明のために、アミノグルテチミド、アムサクリン、アナストロゾール、アスパラギナーゼ、bcg、ビカルタミド、ブレオマイシン、ブセレリン、ブスルファン、カンポテシン、カペシタビン、カルボプラチン、カルムスチン、クロラムブシル、シスプラチン、クラドリビン、クロドロネート、コルヒチン、シクロホスファミド、シプロテロン、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ジエンストロール、ジエチルスチルベストロール、ドセタクセル、ドキソルビシン、エピルビシン、エストラジオール、エストラムスチン、エトポシド、エキセメスタン、フィルグラスチム、フルダラビン、フルドロコーチゾン、フルオロウラシル、フルオキシメステロン、フルタミド、ゲムシタビン、ゲニステイン、ゴセレリン、ヒドロキシウレア、イダルビシン、イフォスファミド、イマチニブ、インターフェロン、イリノテカン、イロノテカン、レトロゾール、ロイコボリン、ロイプロリド、レバミゾール、ロムスチン、メクロレタミン、メドロキシプロゲステロン、メゲストロール、メルファラン、メルカプトプリン、メスナ、メトトレキセート、マイトマイシン、マイトタン、マイトキサントロン、ニルタミド、ノコダゾール、オクトレオチド、オキサリプラチン、パクリタキセル、パミドロネート、ペントスタチン、プリカマイシン、ポルフィマー、プロカルバジン、ラルチトレクスト、リツキシマブ、ストレプトゾシン、スラミン、タモキシフェン、テモゾロミド、テニポシド、テストステロン、チオグアニン、チオテパ、チタノセンクロリド、トポテカン、トラスツズマブ、トレチノイン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、及びビノレルビンが含まれる。]
[0089] これらの化学療法用抗腫瘍性化合物は、それらの作用機構によって、例えば、次の群に分類されうる:代謝拮抗剤/抗癌剤、例えばピリミジン類似体(5−フルオロウラシル、フロクスウリジン、カペシタビン、ゲムシタビン及びシタラビン)及びプリン類似体、葉酸アンタゴニスト及び関連インヒビター(メルカプトプリン、チオグアニン、ペントスタチン及び2−クロロデオキシアデノシン(クラドリビン));抗増殖剤/抗有糸分裂剤(天然物を含む)、例えばビンカアルカロイド(ビンブラスチン、ビンクリスチン及びビノレルビン)、微小管破壊剤例えばタキサン(パクリタキセル、ドセタキセル)、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ノコダゾール、エポシロン及びナベルビン、エピジポドフィロトキシン(エトポシド、テニポシド)、DNA損傷剤(アクチノマイシン、アムサクリン、アントラサイクリン、ブレオマイシン、ブスルファン、カムプトテシン、カーボプラチン、クロラムブシル、シスプラチン、シクロホスファミド、シトキサン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、ヘキサメチルメラミンオキサリプラチン、イホスファミド、メルファラン、メルクロレタミン、マイトマイシン、マイトキサントロン、ニトロソウレア、プリカマイシン、プロカルバジン、タキソール、タキソテレ、テニポシド、トリエチレンチオホスホルアミド及びエトポシド(VP16));抗生物質例えばダクチノマイシン(アクチノマイシンD)、ダウノルビシン、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、イダルビシン、アントラサイクリン、マイトキサントロン、ブレオマイシン、プリカマイシン(ミトラマイシン)及びマイトマイシン;酵素(L−アスパラギンを全身で代謝して、アスパラギンを合成する能力を有しない細胞を涸渇させるL−アスパラギナーゼ);抗血小板剤;抗増殖剤/抗有糸分裂アルキル化剤例えばナイトロジェンマスタード(メクロレタミン、シクロホスファミド及び類似体、メルファラン、クロラムブシル)、エチレンイミン及びメチルメラミン(ヘキサメチルメラミン及びチオテパ)、アルキルスルホネート−ブスルファン、ニトロソウレア(カルムスチン(BCNU)及び類似体、ストレプトゾシン)、トラゼン−ダカルバジニン(DTIC);抗増殖剤/抗有糸分裂代謝拮抗剤、例えば葉酸類似体(メトトレキセート);白金配位錯体(シスプラチン、カルボプラチン)、プロカルバジン、ヒドロキシウレア、マイトタン、アミノグルテチミド;ホルモン、ホルモン類似体(エストロゲン、タモキシフェン、ゴセレリン、ビカルタミド、ニルタミド)及びアロマターゼインヒビター(レトロゾール、アナストロゾール);抗凝固剤(ヘパリン、合成ヘパリン塩及び他のトロンビンのインヒビター);フィブリン溶解剤(例えば、組織プラスミノーゲンアクチベーター、ストレプトキナーゼ及びウロキナーゼ)、アスピリン、ジピリダモール、チクロピジン、クロピドグレル、アブシキシマブ;抗移動剤;抗分泌剤(ブレベルジン);免疫抑制剤(シクロスポリン、タクロリムス(FK−506)、シロリムス(ラパマイシン)、アザチオプリン、ミコフェノレートモフェチル);抗血管形成性化合物(TNP−470、ゲニステイン)及び成長因子インヒビター(血管内皮成長因子(VEGF)インヒビター、繊維芽細胞成長因子(FGF)インヒビター);アンギオテンシンレセプターブロッカ;一酸化窒素ドナー;アンチセンスオリゴヌクレオチド;抗体(トラスツヅマブ);細胞周期インヒビター及び分化誘導剤(トレチノイン);mTORインヒビター、トポイソメラーゼインヒビター(ドキソルビシン(アドリアマイシン)、アムサクリン、カムプトテシン、ダウノルビシン、ダクチノマイシン、エニポシド、エピルビシン、エトポシド、イダルビシン及びマイトキサントロン、トポテカン、イリノテカン)、コルチコステロイド(コーチゾン、デキサメタゾン、ヒドロコーチゾン、メチルペドニゾロン、プレドニゾン、及びプレニゾロン);成長因子シグナル変換キナーゼインヒビター;ミトコンドリア機能不全誘導剤及びカスパーゼアクチベーター;及びクロマチン破壊剤。]
[0090] ある具体例において、組合せ抗血管形成療法に利用することのできる医薬化合物には:(1)「血管形成性分子」例えばbFGF(塩基性繊維芽細胞成長因子)の放出のインヒビター;(2)血管形成性分子の中和剤例えば抗βbFGF抗体;及び(3)内皮細胞の血管形成刺激に対する応答のインヒビター(コラゲナーゼインヒビター、基底膜ターンオーバーインヒビター、アンギオスタチックステロイド、真菌由来血管形成インヒビター、血小板因子4、トロンボスポンジン、関節炎用薬物例えばD−ペニシラミン及び金チオリンゴ酸、ビタミンD3類似体、アルファ−インターフェロンなどを含む)が含まれる。更なる提案される血管形成のインヒビターについては、Blood等、Bioch. Biophys. Acta., 1032:89-118 (1990), Moses等、Science, 248:1408-1410 (1990), Ingber等、Lab. Invest., 59:44-51 (1988)、及び米国特許第5,092,885号、5,112,946号、5,192,744号、5,202,352号、及び6573256号を参照されたい。加えて、血管形成を阻止するために利用することのできる広範な化合物例えば、VEGFに媒介される血管形成経路をブロックするペプチド又は薬剤、エンドスタチンタンパク質又は誘導体、アンギオスタチンのリジン結合性断片、メラニン又はメラニン促進性化合物、プラスミノーゲン断片(例えば、プラスミノーゲンのKringles1−3)、トロポインサブユニット、SaposinB由来のビトロネクチンαvβ3ペプチドのアンタゴニスト、抗生物質又は類似体(例えば、テトラサイクリン又はネオマイシン)、ジエノゲスト含有組成物、ペプチドに結合したMetAP−2阻害性コアを含む化合物、化合物EM−138、カルコン及びその類似体、及びナーラダーゼインヒビターがある。例えば、米国特許第6,395,718号、6,462,075号、6,465,431号、6,475,784号、6,482,802号、6,482,810号、6,500,431号、6,500,924号、6,518,298号、6,521,439号、6,525,019号、6,538,103号、6,544,758号、6,544,947号、6,548,477号、6,599,126号、及び6,569,845号を参照されたい。]
[0091] 組合せ療法の性質に依り、この発明の治療剤の投与を、他の治療を施与しながら及び/又は施与後に持続することができる。これらのポリペプチド治療剤の投与は、単一投与量で行なうこともできるし、多数回の投与で行なうこともできる。幾つかの事例では、これらの治療剤の投与は、慣用の治療の少なくとも数日前に開始するが、他の事例では、投与を、慣用の治療の施与の直前又は当該施与時に開始する。]
[0092] ある具体例において、この開示は、動脈形成を刺激する方法を提供する。かかる方法は、有効量のDll4シグナリングアゴニストをそれを必要とする患者に投与することを含むことができる。その患者は、虚血状態を有し又はその危険にありうる。その患者は、例えばアンギナを含む冠動脈疾患を有し又は心筋梗塞を発症したことがありうる。その患者は、末梢動脈疾患例えば虚血事象又は四肢、脳又は腎臓などの臓器における部分的閉塞を有しうる。その患者は、虚血事象の危険にあると診断されうる。]
[0093] ある具体例において、この開示は、血管において動脈の特徴を採択することを促進する方法を提供する。かかる方法は、有効量のDll4シグナリングのアゴニストを、血管にエキソ・ビボで又はそれを必要とする患者に投与することを含みうる。この血管は、冠動脈バイパス外科手術で利用されるような伏在静脈移植片などの静脈移植片であってよい。]
[0094] 配合物
ある具体例において、本発明の主題の治療剤は、製薬上許容しうるキャリアーと配合される。かかる治療剤は、単独で投与することができ又は医薬配合物(組成物)の一成分として投与することができる。これらの化合物は、投与のために、ヒト用又は獣医学用医薬において利用する慣用の方法で配合することができる。湿潤剤、乳化剤及び潤滑剤(ラウリル硫酸ナトリウム及びステアリン酸マグネシウムなど)並びに着色剤、剥離剤、被覆剤、甘味料、調味料及び香料、防腐剤及び抗酸化剤も又、これらの組成物中に存在してよい。]
[0095] ある面において、この開示は、Dll4、Notch1、Notch4又はこの経路の他のメンバーを標的とする様々な核酸化合物の何れかを含む医薬組成物を提供する。医薬組成物は、一般に、製薬上許容しうるキャリアーを含む。]
[0096] 非経口投与に適した医薬組成物は、一種以上のポリペプチド治療剤を、一種以上の製薬上許容しうる無菌の等張水溶液又は非水性溶液、分散液、懸濁液又は乳濁液と、又は無菌の粉末(使用直前に無菌の注射溶液又は分散液に再構成することができるもの)と組み合わせて含むことができ、これらには、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、意図するレシピエントの血液と等張の配合物与える溶質又は懸濁化剤若しくは増粘剤が含まれうる。この発明の医薬組成物で用いることのできる適当な水性又は非水性のキャリアーの例には、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)及びこれらの適当な混合物、植物油例えばオリーブ油、及び注射可能な有機エステル例えばオレイン酸エチルが含まれる。適当な流動性を、例えば、レシチンなどの被覆材の利用により、必要な粒度を維持することにより(分散液の場合)、及び界面活性剤の利用によって維持することができる。]
[0097] これらの組成物は又、補助剤例えば防腐剤、湿潤剤、乳化剤及び分散剤を含むこともできる。微生物の作用の防止は、様々な抗菌剤及び抗真菌剤例えばパラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸などを含有させることにより確実にすることができる。等張剤例えば糖類、塩化ナトリウムなどをこれらの組成物中に含むことも又、望ましいであろう。加えて、この注射用医薬形態の延長された吸収を、吸収を遅延させる薬剤例えばモノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンを含有させることによりもたらすことができる。]
[0098] 注射可能なデポー剤を、一種以上のポリペプチド治療剤の、生物分解性ポリマー例えばポリラクチド−ポリグリコリド中の微小封入マトリクスを形成することにより作成することができる。薬物のポリマーに対する比及び用いた特定のポリマーの性質によって、薬物放出の速度を制御することができる。他の生物分解性ポリマーの例には、ポリ(オルトエステル)及びポリ(アンヒドリド)が含まれる。注射可能なデポー剤配合物は又、薬物を、身体の組織と適合性のリポソーム又はミクロエマルジョン中に捕捉することによっても製造することができる。]
[0099] 主題のポリペプチド治療剤の配合物には、経口投与/鼻投与、局所投与、非経口投与、直腸投与及び/又は膣内投与に適したものが含まれる。これらの配合物は、便利に、投薬単位形態で提供することができ、製薬業分野で周知の任意の方法によって製造することができる。キャリアー物質と組み合わせて単一投薬形態を生成することのできる活性成分の量は、治療される宿主、特定の投与方法によって変化する。キャリアー物質と組み合わせて単一投薬形態を生成することのできる活性成分の量は、一般に、治療効果を生じる化合物の量である。]
[0100] ある具体例において、これらの配合物又は組成物を製造する方法は、他の種類の抗腫瘍又は抗血管形成治療剤及びキャリアー及び、適宜、一種以上の補助成分を組み合わせることを含む。一般に、これらの配合物は、液体キャリアー若しくは微粉固体キャリアー又は両方を用いて製造することができ、その後、必要であれば、生成物に付形する。]
[0101] 経口投与のための配合物は、カプセル、カシェ剤、丸薬、錠剤、菓子錠剤(風味付きベース、通常、ショ糖及びアラビアゴム又はトラガカントゴムを使用)、粉末、顆粒の形態であってよく、又は溶液若しくは懸濁液(水性若しくは非水性液体中)、又は水中油若しくは油中水液体エマルジョン、又はエリキシル若しくはシロップ、又は芳香製剤(不活性ベース例えばゼラチン及びグリセリン、又はショ糖及びアラビアゴムを使用)、及び/又は口腔洗浄剤などであってよく、各々は、予め決めた量の主題の治療剤を活性成分として含んでいる。]
[0102] 経口投与のための固体投薬形態(カプセル、錠剤、丸薬、糖衣錠、粉末、顆粒など)において、本発明の一種以上のポリペプチド治療剤を、一種以上の製薬上許容しうるキャリアー例えばクエン酸ナトリウム又はリン酸二カルシウム、及び/又は次の何れかと混合することができる:(1)充填剤及び増量剤、例えば澱粉、ラクトース、ショ糖、グルコース、マンニトール、及び/又はケイ酸;(2)結合剤、例えばカルボキシメチルセルロース、アルギネート、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ショ糖、及び/又はアラビアゴム;(3)湿潤剤、例えばグリセロール;(4)崩壊剤、例えば寒天、炭酸カルシウム、馬鈴薯澱粉又はタピオカ澱粉、アルギン酸、ある種のシリケート、及び炭酸ナトリウム;(5)溶液緩染剤、例えばパラフィン;(6)吸収促進剤、例えば四級アンモニウム化合物;(7)湿潤剤、例えばセチルアルコール及びグリセロールモノステアレート;(8)吸収剤、例えばカオリン及びベントナイトクレイ;(9)潤滑剤、例えばタルク、カルシウムステアレート、マグネシウムステアレート、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、及びこれらの混合物;及び(10)着色剤。カプセル、錠剤及び丸薬の場合には、これらの医薬組成物は、緩衝剤をも含むことができる。類似の種類の固体組成物は又、ラクトース又は乳糖並びに高分子量のポリエチレングリコールなどの賦形剤を利用して、ソフトフィルド及びハードフィルドゼラチンカプセルにおいて充填剤としても用いることができる。]
[0103] 経口投与のための液体投薬形態は、製薬上許容しうるエマルジョン、ミクロエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップ及びエリキシルを含む。活性成分に加えて、これらの液体投薬形態は、当分野で一般に用いられる不活性希釈剤例えば水又は他の溶媒、可溶化剤及び乳化剤例えばエチルアルコール、イソプロピルアルコール、エチルカーボネート、エチルアセテート、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、油類(特に、綿実油、落花生油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ひまし油、及び胡麻油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコール及びソルビタンの脂肪酸エステル、並びにこれらの混合物を含むことができる。不活性希釈剤の他にも、これらの経口組成物は、補助剤例えば湿潤剤、乳化剤及び懸濁化剤、甘味料、調味料、着色剤、香料、及び防腐剤をも含むことができる。]
[0104] 懸濁液は、活性化合物に加えて、懸濁化剤例えば、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトール、及びソルビタンエステル、微晶質セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、寒天及びトラガカントゴム、及びこれらの混合物を含むことができる。]
[0105] この発明の治療剤は、皮膚又は頸部及び膣などの粘膜に局所投与することができる。これらの局所用配合物は、更に、一種以上の様々な、皮膚又は角質層透過増進剤として有効であることが知られた薬剤を含むことができる。これらの例は、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルアセタミド、ジメチルホルムアミド、プロピレングリコール、メチル又はイソプロピルアルコール、ジメチルスルホキシド、及びアゾンである。更なる薬剤を、更に含有させて、化粧用として許容しうる配合物を作成することができる。これらの例は、脂肪、ワックス、油、染料、芳香剤、防腐剤、安定剤、及び表面活性剤である。角質溶解剤例えば当分野で公知のものも含有させることができる。例は、サリチル酸及び硫黄である。]
[0106] この局所投与又は経皮投与のための投薬形態には、粉末、スプレー、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、溶液、パッチ、及び吸入が含まれる。主題のポリペプチド治療剤は、無菌条件下で、製薬上許容しうるキャリアー、及び任意の防腐剤、緩衝剤、又は噴射剤(必要とされうる)と混合することができる。これらの軟膏、ペースト、クリーム及びゲルは、主題のポリペプチド剤に加えて、賦形剤例えば動物性及び植物性の脂肪、油、ワックス、パラフィン、澱粉、トラガカントゴム、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、ケイ酸、タルク、及び酸化亜鉛、又はこれらの混合物を含むことができる。]
[0107] 粉末及びスプレーは、主題のポリペプチド治療剤に加えて、賦形剤例えばラクトース、タルク、ケイ酸、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウム、及びポリアミド粉末、又はこれらの物質の混合物を含むことができる。スプレーは、更に、通例の噴射剤例えばクロロフルオロ炭化水素及び揮発性不飽和炭化水素例えばブタン及びプロパンを含むことができる。]
[0108] 膣又は直腸投与のための配合物は、坐薬として調製することができ、それは、一種以上のこの発明の化合物を一種以上の適当な賦形剤又はキャリアー(例えば、ココアバター、ポリエチレングリコール、坐薬ワックス又はサリチル酸塩を含む)と混合することにより調製することができ、室温で固体であるが、体温では液体であり、それ故、直腸又は膣内腔で融解して活性化合物を放出する。]
[0109] 他の具体例において、この発明のポリペプチド治療剤は、真核生物のプロモーターから細胞内で発現させることができる。例えば、Dll4又はNotch1/Notch4の可溶性ポリペプチドを、適当なベクターから真核細胞内で発現させることができる。これらのベクターは、好ましくは、DNAプラスミド又はウイルス性ベクターである。ウイルス性ベクターは、アデノ随伴ウイルス、レトロウイルス、アデノウイルス、又はアルファウイルスに基づいて(但し、これらに限られない)構築することができる。好ましくは、これらのベクターは、安定に標的細胞に導入されて維持される。或は、一過性の発現を与えるウイルス性ベクターを利用することができる。かかるベクターは、必要なときに反復して投与することができる。主題のポリペプチド治療剤をコードするベクターの送達は、静脈若しくは筋肉内投与によるか、患者由来の外植された標的細胞へ投与した後その患者に再導入することによるか、又は所望の標的細胞への導入を可能にする他の手段によるなどして、全身的であってよい(総説としては、Couture等、1996, TIG., 12, 510を参照されたい)。]
[0110] 典型的具体例
この発明を今一般的に説明したので、それは、下記の実施例を参照することにより一層容易に理解されるであろう。これらの実施例は、単に、本発明のある面及び具体例の説明を目的とするものであって、この発明を制限することを意図するものではない。]
[0111] 実施例1:動脈の発生におけるマウスのDll4の投薬量感受性要求。
Duarte等(Genes Dev. 2004 Oct 15;18(20):2474-8)は、マウスDll4における機能喪失変異が脈管形成及び血管形成の欠損を引き起こすこと、及びこれらの欠損が投薬量依存性であることことを示し、Dll4+/-マウスは、ホモ接合のDll4-/-マウスよりも一層軽い表現型を示す。加えて、Dll4機能の喪失は、動脈血管のアイデンティティの喪失を引き起こす。これらの結果は、Notch経路では先例のないDll4シグナリングに対する感受性のレベルを示している。血管発生のDll4投薬量に対する感受性は、Dll4−Notch1/4シグナリング経路のアンタゴニストが、血管形成の阻止において高度に有効であろうことを示している。]
[0112] 実施例2:mDLL4過剰発現は、発生中のマウス胚において、動脈肥厚及び静脈アイデンティティの喪失を引き起こす。
この研究において、出願人は、哺乳動物の血管の発生におけるmDll4の役割を、マウスの機能亢進変異体を生成して特性決定することによって更に研究することを企てた。mDll4の全身に広がった過剰発現を達成するために、条件付きトランスジェニックマウス系統、ZEG−mDll4を生成した。構成的cre系統、CAG−Creマウス(Sakai等、1997)との交雑に際して、これらのマウスは、ネイティブ型のmDll4を、ニワトリのベータアクチンプロモーター及びCMVエンハンサーの制御下で発現する。続くものは、認められた機能亢進表現型の記載である。]
[0113] mDll4cDNAを、pCALL2−MigR(Lobe等、1999)中にクローン化して、pZ/EG−mDll4トランスジェネシスベクター(図7)を生成し、R1マウスの胚性幹(ES)細胞中にエレクトロポレーションした。これらのエレクトロポレーションを受けたES細胞から標準的方法(Nagy及びRossant, 2000)により得られたトランスジェニックマウス系統を、構成的cre系統、CAG−Creと交雑した。その結果生成した胚を、EGFP蛍光、第二レポーター(Cre組換えが起きた細胞中でDll4と同時発現される)につき分析した。EGFP発現は、二重トランスジェニック胚(dt)で強く且つ全身的であることが見出され(図8)、これは、正常なE8.5〜E9.5のメンデル比で起きた。これらの胚は、頭、心臓、鰓弓及び後背側領域での激しい出血、心膜浮腫及び不完全な転換をE9.0で示した(図8c)。E10.5の後、二重トランスジェニック胚は、回収されなかった。] 図7 図8 図8c
[0114] 二重トランスジェニック胚の全載の低温切片におけるPECAM1抗血清による免疫染色は、動静脈奇形を、特に背大動脈と前主動脈との融合(図10)をE8.5ほどの早期に示した。このステージでは、明白な程度の大動脈肥厚もあって、これは、E9.5まで漸進的に一層明白になったが、このことは、内皮細胞増殖の調節におけるNotch経路の役割を示唆している(図9)。この仮説と調和して、BrdU取込みの研究は、内皮細胞増殖の40%平均の増加を、二重トランスジェニック胚の前背大動脈で示した(図示せず)。他方、前主動脈(ACV)は、それらが正しい血管形成の改変を受けなかったかのように、分岐して見え(図9)、又は、静脈洞に直接結合した領域を除いて殆ど存在しなかった(図10)。血管形成の改変は又、卵黄嚢及び心臓領域において生じることができておらず、一次毛細血管叢が、両方の場合において残っている(図9)。体節間血管は、正常より僅かに広がって短く、これは、おそらく、動脈と静脈の融合及び背側の最も末端での分岐の失敗の結果であろう(図9)。それらは又、ときに体節に侵入しているのが見られ、これは、それらの成長進路方向の破壊を示唆する(示してない)。E9.5では、dt胚の大動脈は、静脈洞領域に直接結合しているのが見られ(図10)、これは、心臓の末端における微小循環を造っている。おそらく、不十分な血流の結果として、この大動脈は、後方がひどく萎縮して静脈洞に結合している(図9及び10)。墨汁の注入を用いる細血管造影法による研究は、これらの変異体において、血液が、大動脈弓から大動脈へ流れ、その後、直接、静脈洞に流れ込み、殆どの血液は、後背大動脈に達しないことを示す(図10)。] 図10 図9
[0115] 動脈及び静脈特異的マーカー発現の特性表示は、胚のすべての血管が動脈マーカーのみを提示するという著しい変異体表現型を示した。これらの二重トランスジェニック胚の静脈は、動脈特異的マーカー例えばephrin−B2、コネキシン37、hey1及びnotch1の異所的発現を示した(図11及び12)。他方、静脈マーカー(例えば、EphB4)の発現は、これらの変異体において検出できなかった(図13)。その上、通常、大動脈−性腺−中腎領域における主動脈に特異的である造血クラスターが、E9.0の変異体胚の静脈洞領域で検出され(図示せず)、これは、静脈構造の機能的動脈化の証拠を与えるものである。] 図11 図13
[0116] mDll4の過剰発現は、大動脈肥厚及び動静脈短絡、局所的血管形成阻止、静脈における内皮の動脈アイデンティティマーカーの異所的発現、及び内皮の静脈アイデンティティマーカーのダウンレギュレーションを引き起こす。]
[0117] これらの結果は、内皮細胞のアイデンティティの確立におけるmDll4の役割を示しており、その血管芽細胞/内皮細胞の増殖及び血管形成の調節への関与を示唆している。]
[0118] 実施例3:ヒトのデルタ様(hdll4)は、内皮細胞の管形成及び内皮細胞の萌芽を調節する。
ヒトのdll4の細胞外ドメイン(SEQID NO:1のアミノ酸26〜524)を、Hisタグ又はFcタグと共に哺乳動物用発現ベクター中にクローン化して、分泌タンパク質として293細胞及びCHO−K細胞で発現させた。精製したdll4を、先ず、Notch1に結合することを示し、次いで、マトリゲル上で培養した場合の内皮細胞に対するイン・ビトロ活性について試験した。図10及び11を参照されたい。内皮細胞は、8〜24時間以内に組織化されて管様構造を形成し、該管形成は、成長因子涸渇条件において最少であった。20ng/mlでのVEGFの添加は、管形成を誘導する。成長因子欠乏条件で試験した場合、Dll4は、低投与量レベル(100及び200ng/ml)で管形成を誘導したが、一層高レベルの500ng/mlの投与量では、管形成を誘導することができなかった(図12)。しかしながら、Dll4は、VEGF含有培養物に加えた場合に、管形成を誘導しなかった。] 図10 図12
[0119] ヒトdll4は、内皮細胞スフェロイドを変化する投与量レベルのdll4で処理する萌芽アッセイにおいても試験した(図13及び14)。一層低レベルの投与量では萌芽が誘導されたが、一層高レベルの投与量では、萌芽を促進することができなかった(図13)。対照的に、VEGF処理された内皮細胞の萌芽は、一層低レベルのdll4によって最少の影響を受けたが、一層高レベルの投与量で顕著な減少を示した(図14)。] 図13 図14
[0120] 実施例3の方法及び材料:
内皮細胞、平滑筋細胞、及び同時培養スフェロイドの生成
限定した細胞数の内皮細胞及び平滑筋細胞スフェロイドを生成した。簡単にいえば、SM又はHUVE細胞を、0.25%(w/v)カルボキシメチルセルロースを含む対応する培養培地に懸濁させて、非粘着性丸底96ウェルプレートに播種した。これらの条件下で、すべての懸濁細胞は、限定した大きさ及び細胞数のウェル当たり単一のスフェロイドの形成に寄与する(標準的大きさ:2250細胞/スフェロイド;イン・ビトロ血管形成:750〜1000細胞/スフェロイド)。同時培養スフェロイドを生成するために、等量の懸濁させたSM及びHUVE細胞(標準的大きさ:1125SMC及び1125HUVEC/スフェロイド;イン・ビトロ血管形成:500SMC及び500HUVEC/スフェロイド)を混合して、上記のように非粘着性丸底96ウェルプレートに播種した。スフェロイドを、少なくとも24時間培養し、対応する実験に用いた。]
[0121] イン・ビトロ血管形成アッセイ
コラーゲンゲルにおけるイン・ビトロ血管形成を、前記のように、内皮細胞、平滑筋細胞、及び同時培養スフェロイドを利用して定量した。簡単にいえば、750〜1000細胞を含むスフェロイドを一晩生成し、その後、それらをコラーゲンゲル中に包埋した。コラーゲンストック溶液を、使用前に、8容量(vol)のラットの尾の酸性コラーゲン抽出物(2mg/ml、4℃に平衡化)を、1容量の10×EBSS(GibcoBRL, ドイツ国、Eggenstein);1容量の0.1N NaOHと混合してpH7.4に調整することにより調製した。このストック溶液(0.5ml)を、0.5mlの室温の培地(コラーゲンゲルの重合前のスフェロイドの沈降を防ぐために0.5%(w/v)カルボキシメチルセルロースを含むECGM基礎培地[PromoCell]に40%FCSを加えたもの)、50個のスフェロイド、及び対応する試験物質と混合した。このスフェロイド含有ゲルを迅速に予備加温した24ウェルプレとに移して、重合させ、その後、0.1ml ECGM基礎培地を該ゲルの上にピペットで加えた。これらのゲルを、5%CO2中で、37℃、湿度100%でインキュベートした。24時間後に、イン・ビトロ血管形成を、各スフェロイドから伸出した萌芽の長さ(接眼グリッド(ocular grid)倍率100)を、実験群及び実験当たり少なくとも10個のスフェロイドを分析するデジタルイメージングソフトウェアDP−Soft(Olympus社製)を利用して測定することにより計数した。]
[0122] 蛍光細胞標識
SMC及びHUVECを、蛍光染料PKH26(赤色蛍光)及びPKH67(緑色蛍光)を製造業者の指示に従って利用して標識した。トリプシン処理後に、懸濁細胞を、HBSSで一回洗い、膜をPKH26又はPKH67で5分間標識して、対応する培養培地で3回洗った。細胞標識の品質を、蛍光顕微鏡観察を用いて検査した。]
[0123] 超微細構造分析
スフェロイドを、Karnovsky固定液中で固定し、1.0%オスミウムテトロキシド中で後固定し、ある等級シリーズのエタノール中で脱水して、Epon中に包埋した。0.5μmの切片を切って、光学顕微鏡評価のためにアズレ11メチレンブルーで染色した。極薄切片(50〜80nm)を切り、銅製グリッド上に集めて、ZeissEM10電子顕微鏡による観察のために酢酸ウラニル及びクエン酸鉛で自動的に染色した。]
[0124] 表面スフェロイド内皮細胞における内皮間接合点複合体の定量のために、2つの独立の調製物において、実験群当たり20の無作為に選んだスフェロイドのすべての接合点複合体を計数した。結果を、100個の表面単層内皮細胞当たりの、接合点複合体の数として表した(実験群当たり少なくとも200Ecの分析)。]
[0125] 形態及び免疫組織化学的分析
スフェロイドを採取して、3分間、200gで遠心分離した。培養した単層細胞をトリプシン処理により採取して、遠心分離により集めた。スフェロイド及びペレット化した単層細胞を、4%パラホルムアルデヒドを含むHBSS中で固定して、パラフィン包埋のために処理し;脱水(エタノール及びイソプロパノールの等級化シリーズ、各1時間)後、これらの試料を、先ず、パラフィンI(融点42℃)に12時間、60℃で浸した。スフェロイド及び単層細胞を、再び、遠心分離により集めて、パラフィンII(融点56℃)に12時間、70℃で浸した。その結果得られたパラフィンブロックを、最後に、室温まで冷却して、切片化のために整えた。組織化学的分析のために、パラフィン切片(4μm)を切り、脱パラフィンして、脱水した。次いで、切片を、3%H2O2とH2O中でインキュベートして内在性ペルオキシダーゼを阻害した。リン酸緩衝塩溶液中での洗浄後、これらの切片を、30分間、ブロッキング溶液(10%正常ヤギ血清)とインキュベートした後、対応する一次抗体と、加湿チャンバー内で4℃での一晩のインキュベーションを行なった。その後、それらを、二次抗体(ビオチン化ヤギ抗ウサギ免疫グロブリン又はビオチン化ヤギ抗マウス免疫グロブリン抗体;Zymed,カリフォルニア、San Francisco)とインキュベートして、ストレプトアビジンペルオキシダーゼに曝露し、ジアミノベンジジン(基質)で顕色させて、ヘマトキシリンで弱く対比染色した。]
权利要求:

請求項1
癌を治療する方法であって、該治療を必要とする患者に、有効量のDll4のアンタゴニストを投与することを含む当該方法。
請求項2
前記のDll4のアンタゴニストが、Dll4の細胞外領域を含むポリペプチドである、請求項1に記載の方法。
請求項3
前記のアンタゴニストが、増進された薬物速度論的特性を与える部分に共有結合される、請求項2に記載の方法。
請求項4
該部分が、Fcドメイン、Hisタグ、又はポリオキシアルキレン部分から選択される、請求項3に記載の方法。
請求項5
前記のアンタゴニストが、SEQID NO:1のDSLドメイン、又はその変異体を含む、請求項2に記載の方法。
請求項6
前記のアンタゴニストが、SEQID NO:1のアミノ酸27−524、又はその変異体を含む、請求項2に記載の方法。
請求項7
前記のアンタゴニストが、SEQID NO:1のアミノ酸1−486、又はその変異体を含む、請求項2に記載の方法。
請求項8
前記のアンタゴニストが、SEQID NO:1のアミノ酸27−486、又はその変異体を含む、請求項2に記載の方法。
請求項9
前記のアンタゴニストが、SEQID NO:1のアミノ酸1−442、又はその変異体を含む、請求項2に記載の方法。
請求項10
前記のアンタゴニストが、SEQID NO:1のアミノ酸27−442、又はその変異体を含む、請求項2に記載の方法。
請求項11
前記のアンタゴニストが、Dll4の細胞外領域に結合する抗体又はその断片である、請求項1に記載の方法。
請求項12
前記の抗体が、モノクローナル抗体である、請求項11に記載の方法。
請求項13
前記の抗体が、ヒト抗体又はヒト化抗体である、請求項11に記載の方法。
請求項14
前記の抗体が、増進された薬物速度論的特性を与える部分に共有結合される、請求項11に記載の方法。
請求項15
該部分が、Fcドメイン、Hisタグ、又はポリオキシアルキレン部分よりなる群から選択される、請求項14に記載の方法。
請求項16
前記の抗体が、SEQID NO:4又はSEQ ID NO:5を含む、請求項11に記載の方法。
請求項17
前記の抗体が、SEQID NO:6又はSEQ ID NO:7を含む、請求項11に記載の方法。
請求項18
血管形成を阻害する方法であって、該阻害を必要とする患者に、有効量のDll4シグナリングのアンタゴニストを投与することを含む当該方法。
請求項19
前記のDll4のアンタゴニストが、Dll4の細胞外領域を含むポリペプチドである、請求項18に記載の方法。
請求項20
前記のアンタゴニストが、増進された薬物速度論的特性を与える部分に共有結合される、請求項19に記載の方法。
請求項21
該部分が、Fcドメイン、Hisタグ、又はポリオキシアルキレン部分よりなる群から選択される、請求項20に記載の方法。
請求項22
前記のアンタゴニストが、SEQID NO:1のDSLドメイン、又はその変異体を含む、請求項19に記載の方法。
請求項23
前記のアンタゴニストが、SEQID NO:1のアミノ酸27−524、又はその変異体を含む、請求項19に記載の方法。
請求項24
前記のアンタゴニストが、SEQID NO:1のアミノ酸1−486、又はその変異体を含む、請求項19に記載の方法。
請求項25
前記のアンタゴニストが、SEQID NO:1のアミノ酸27−486、又はその変異体を含む、請求項19に記載の方法。
請求項26
前記のアンタゴニストが、SEQID NO:1のアミノ酸1−442、又はその変異体を含む、請求項19に記載の方法。
請求項27
前記のアンタゴニストが、SEQID NO:1のアミノ酸27−442、又はその変異体を含む、請求項19に記載の方法。
請求項28
前記のアンタゴニストが、Dll4の細胞外領域に結合する抗体、又はその断片である、請求項18に記載の方法。
請求項29
前記の抗体が、モノクローナル抗体である、請求項28に記載の方法。
請求項30
前記の抗体が、ヒト抗体又はヒト化抗体である、請求項28に記載の方法。
請求項31
前記の抗体が、増進された薬物速度論的特性を与える部分に共有結合される、請求項28に記載の方法。
請求項32
該部分が、Fcドメイン、Hisタグ、又はポリオキシアルキレン部分から選択される、請求項31に記載の方法。
請求項33
前記の抗体が、SEQID NO:4又はSEQ ID NO:5を含む、請求項28に記載の方法。
請求項34
前記の抗体が、SEQID NO:6又はSEQ ID NO:7を含む、請求項28に記載の方法。
請求項35
前記のアンタゴニストが、哺乳動物の内皮細胞内で、有効濃度で、VEGFにより刺激される血管形成を阻害する、請求項18に記載の方法。
請求項36
患者が、血管形成関連疾患を有する、請求項18に記載の方法。
請求項37
前記のアンタゴニストと相加的又は相乗的様式で血管形成を阻害する少なくとも一の更なる抗血管形成剤を投与することを更に含む、請求項18に記載の方法。
請求項38
前記の更なる抗血管形成剤が、Notchレセプターのインヒビターである、請求項37に記載の方法。
請求項39
Dll4シグナリングのアンタゴニストが、哺乳動物の内皮細胞内で、動脈の表現型の発現を阻害する、請求項18に記載の方法。
請求項40
動脈の表現型が、EphrinB2の発現及びコネキシン37の発現よりなる群から選択される、請求項39に記載の方法。
請求項41
前記のDll4シグナリングのアンタゴニストが、Notch調節される遺伝子を阻害する、請求項18に記載の方法。
請求項42
アルファ平滑筋アクチン(α−SMA)陽性細胞の血管へのリクルート(recruitment)を阻害する方法であって、該阻害を必要とする患者に、有効量のDll4シグナリングのインヒビターを投与することを含む当該方法。
請求項43
インヒビターが、Dll4に対する抗体若しくはその断片、可溶性のDll4−His融合物又は可溶性のDll4−Fc融合物から選択される、請求項42に記載の方法。
請求項44
α−SMA陽性細胞が、周細胞、平滑筋細胞、又は周囲内皮(periendothelial)細胞から選択される、請求項42に記載の方法。
請求項45
血管が、静脈移植片である、請求項42に記載の方法。
請求項46
静脈移植片が、伏在静脈移植片である、請求項42に記載の方法。
請求項47
患者が、血管形成関連疾患を有する、請求項42に記載の方法。
請求項48
Dll4の細胞外領域に位置するエピトープに結合する単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合性部分。
請求項49
抗体又はその抗原結合性の部分が、MNNL、DSL及び一つ以上のEGF反復から選択されるドメイン内に位置するエピトープに結合する、請求項48に記載の単離されたモノクローナル抗体。
請求項50
抗体が、ヒト化抗体である、請求項48に記載の単離されたモノクローナル抗体。
請求項51
抗体が、SEQID NO:4又はSEQ ID NO:5を含むアミノ酸配列を含む、請求項48に記載の単離されたモノクローナル抗体。
請求項52
抗体が、SEQID NO:6又はSEQ ID NO:7を含むアミノ酸配列を含む、請求項48に記載の単離されたモノクローナル抗体。
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公开号 | 公开日
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